合成ゴム・化学メーカー11社の20年3月期第3四半期決算(クラレは19年12月期)から、合成ゴム・エラストマー関連部門の現況をまとめた。この部門は、自動車生産減速などの影響で11社全てが減収となった。
◆JSR
エラストマー事業は、SSBRが順調に販売を伸ばしたが、事業全体の販売は前年を下回り、売上収益も前年を下回った。営業利益は、主に原料価格下落に伴う販売価格の下落で売買スプレッドが縮小し、前年を下回った。
◆日本ゼオン
合成ゴム関連は、国内販売・輸出・海外子会社ともに、世界経済減速の影響を受け自動車向けを含む工業用品用途の需要が弱く、売上高、営業利益とも前年を下回った。
◆三井化学
自動車部品と樹脂改質剤用途を中心とするエラストマーは、アジアを中心に需要が鈍化し、減収となった。機能性コンパウンド製品は、欧米・中国での自動車生産減速の影響を受け、減収となった。
◆住友化学
石油化学品や合成樹脂は、原料価格が前年を下回り市況が下落した。石油化学品などの交易条件悪化により減益となった。
◆旭化成
パフォーマンスプロダクツ事業は、タイヤ向け合成ゴムの操業度差、固定費増加および汎用分野での交易条件悪化などが減益要因となった。
◆宇部興産
合成ゴム事業は、タイヤ用途を中心に出荷が概ね堅調に推移する中で、製品価格が主原料であるブタジエン価格よりも下落しスプレッドが縮小したことにより、減収減益となった。
◆デンカ
クロロプレンゴムは、全体的に需要が減退しており、販売数量が前年を下回った。スチレンモノマー、ポリスチレン樹脂およびMS樹脂の販売は概ね堅調に推移したが、原材料価格下落に応じて販売価格の見直しを行い、減収となった。
◆東ソー
クロロプレンゴムは、アジア向けを中心に輸出が減少した。
◆クラレ
熱可塑性エラストマー「セプトン」は、景気減速の影響を受け販売量が減少した。耐熱性ポリアミド樹脂は、電気・電子デバイス向け需要が停滞したが、車載用コネクタ向けの新規採用が進んだ。
◆信越化学工業
シリコーンは、機能製品を中心に拡販を進めたが、汎用製品の価格下落の影響を受けた。
◆ダイキン工業
フッ素ゴムは、米国・欧州・中国などで自動車関連分野の需要が落ち込んだ影響を受け、売上高は前年を下回った。
2020年03月09日