原料各社 コロナ対策に本腰 検査キットや試薬の開発急ぐ 

2020年03月05日

ゴムタイムス社

 新型コロナウイルスの感染拡大に沈静化が見えない中、原料メーカー各社が新型コロナウイルスの検査キットや検出試薬などの開発を加速し、感染拡大防止や原因究明に向けた動きを本格化させている。

 デンカは、2月13日に連結子会社のデンカ生研が新型コロナウイルスの抗原をイムノクロマト法により一般の医療施設でも使用が可能で、迅速かつ簡易に検出するキットの開発を始めたことを発表した。

 同社では、新型コロナウイルスの流行に対する簡易検査キットの提供を社会的責務と捉え、公的機関や国内外の研究機関の協力を仰ぎ、デンカ生研が長年に亘って培ってきた知見を活かし、最速での供給開始を目指す。

 デンカ生研は、過去にコンゴ共和国のエボラ出血熱流行に対し、迅速診断キットのテスト品を供給した経緯がある。また、インフルエンザの迅速診断キットでは国内のトップメーカーであり、新型コロナウイルスの簡易検査キットでも十分な供給体制をとれるとしている。

 東ソーは2月21日、核酸(RNA)を増幅検出する「TRC法」を用いた新型コロナウイルス検出試薬の開発を開始したと発表した。TRC法による検出試薬を使い、同社既存製品である自動遺伝子検査装置「TRCReady―80」で検査し、新型コロナウイルスを簡便かつ約50分以内に検出することを目指す。

 TRC法は、一定温度でRNAを複写増幅する転写逆転写協奏法と検出対象の核酸と結合することで蛍光が増強する発蛍光プローブ(INAFプローブ)を組み合わせた方法で、同社のTRC法検査の特徴として、①転写逆転写反応が連続的に進行するため標的核酸の迅速な増幅が可能、②核酸検査(RNA)のため高感度で検出が可能、③内部コントロールを同時に増幅・モニタリングすることによる偽陰性リスクの低減、④核酸精製から核酸増幅・検出の工程を自動化した検査装置による作業の簡便さなどが挙げられる。

 ダイセルは2月21日、グループ会社の米アーバーバイオサイエンス社が、新型コロナウイルスの配列検査用試薬「myBaits Expert 2019-nCoV」をリリースし、2月12日より、新型コロナウイルス研究者への無償提供を開始したと発表した。

 アーバー社は、これまでに他の病原体用に同タイプの配列検査用試薬の開発・製造を行ってきた。今回、研究界からの要請を受け、その知識・経験を活かし、1週間で本試薬を開発した。

 ランクセスは2月26日、新型コロナウイルスのまん延を防止するため、高い効果を発揮する消毒剤「Rely+Onビルコン」1tを武漢および周辺の2つの市にある複数の病院に寄附したと発表した。この高レベルの1tの消毒剤は、水で希釈することで10万Lの消毒液になる。第三者評価機関が実施した複数のテストで「Rely+Onビルコン」は、まん延するコロナウイルス株に極めて類似性が高いサロゲート(代替)ウイルスを不活性化することが実証されている。「Rely+Onビルコン」は使用する際、希釈し、硬質表面や設備にスプレーする。これにより、表面、ドアノブ、テーブル等の消毒対策において、病院だけではなく、公共交通機関のターミナル、空港、ショッピングモールなどの施設でも汚染リスクの軽減につながるとしている。

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