旭化成は3月6日、スチレン系樹脂であるAS樹脂、ABS樹脂およびACS樹脂事業からの撤退を決定したと発表した。
対象製品は、「スタイラック」、「エステロイ」で、工場の停止と営業活動の終了は2021年3月末を予定している。また、同事業に携わる従業員については、原則として他の事業への再配置を予定している。
同事業は、1962年の川崎工場(現・川崎製造所)におけるAS樹脂工場稼働により事業を開始し、1964年のABS樹脂工場稼働(1978年に停止し、水島工場に統合)、1995年のACS樹脂事業の開始とあわせて、これまで約58年間にわたり、国内外の顧客へ製品を提供してきた。
また、2015年には、国内市場の大幅な需要減などによる事業損益の悪化を受け、1967年に製造を開始した水島製造所のABS樹脂工場を閉鎖し、事業構造の改善を図ってきた。
しかしながら、グローバルABS市場において同社製品の優位性を発揮することは容易ではなく、また、将来的に拡大戦略を描くことも難しいとの判断から、事業撤退を決定した。今後は、同事業の経営資源を同社の他の注力事業へと振り向けていく。
同社は、中期経営計画「Cs+ for Tomorrow 2021」において、経営資源の優先投入や再配分を進めることで事業ポートフォリオの転換を図り、サステナブルで高付加価値な事業体となることを目指している。