帝人は3月5日、帝人フロンティアがレゾルシン・ホルムアルデヒド(RF)を含まない、環境に配慮したゴム補強繊維向けの接着剤を開発したと発表した。
タイヤをはじめとするゴム製品において、その強度や形態安定性などを保つために使用する補強繊維の生産工程では、長年にわたり、接着性に優れるレゾルシン・ホルムアルデヒド・ラテックス(RFL)接着剤が使用されている。しかし、近年の環境や安全に対する意識の高まりから、身体に有害とされるRFを含まない接着剤のニーズが急速に高まっていた。
こうした中、同社は、RFを使用せずに同等の接着性能を有する、ゴム補強繊維向けの環境に配慮した接着剤を実現した。
今回開発した接着剤は、RFの代替として高分子化合物を使用することにより、ゴム補強繊維の接着加工プロセスで環境負荷低減に貢献することができる。また、繊維およびゴムとの親和性が良好であることから、従来のRFL接着剤と同等の接着性能を実現した。
一般に使用されているRFL接着剤は、化学反応によりRFが網目状となり、接着剤成分であるラテックスと複合することで良好な接着性能が発現している。これに対し、同接着剤は、RFの代わりに配合した高分子化合物の分子間の相互作用が網目を形成することで、RFL接着剤と同等の接着性能を実現する。
今後、タイヤやベルト、ホースをはじめとする幅広い用途に向けて展開を図るとともに、多種多様なゴムに対応できるよう、さらに開発を進めていく。また、2020年より同接着剤を使用したゴム補強繊維の試験生産を開始し、2028年にはライセンス生産を含め、年産20万tを目指す。