クラレ(東京都千代田区、伊藤正明社長)のエラストマー事業は、昨年は世界経済悪化の影響を受け、水添スチレン系エラストマー「セプトン」等の販売が、好調だった一昨年に比べ数量ベースで10%ダウンした。利益面でもリーマンショック以来の不振となったが、昨年は「苦戦はしたが、いろいろな種が仕込めた」(イソプレンカンパニー・エラストマー事業部・井上淳事業部長)年でもあった。
成果の一つとして、液状ゴムの自動車タイヤ向けの新規グレード「GS―LBR」を開発し、今年2月にドイツのタイヤ技術の展示会で発表した。これは、液状ブタジエンゴムをシラン変性した製品で、ベースゴムに配合するシリカと相互作用し、低燃費性と耐摩耗性の向上に寄与する。車体が重いEVやHVの高トルクでの走行に求められる性能を実現する添加剤として評価が進む。
また、昨秋の独K展では、サトウキビ由来のβ―ファルネセンを用いた「セプトン」BIO―シリーズが大きな反響を呼んだ。天然素材を原料とする特長がサーキュラー・エコノミーという展示会のコンセプトに合致したこと、またこうしたスチレン系エラストマーがほかにないこともあり、来場者の注目を集めた。同製品は靴底などで最終評価が進み、採用が期待される。同社は「このようなSDGsに貢献する商品を伸ばすことが重要な開発テーマのひとつとなっている」(同)と捉え、力を入れる。
一方、自動車部品やメディカル向けの