三洋化成工業は3月4日、子会社で次世代型リチウムイオン電池「全樹脂電池」の開発を行うAPBが、JFEケミカル、JXTGイノベーションパートナーズ、大林組、慶應イノベーション・イニシアティブ、帝人、長瀬産業、横河電機の計7社を引受先とする第三者割当増資により、総額約80億円の資金調達を実施すると発表した。
今回の資金調達は、APBが開発する全樹脂電池の量産工場設立を主たる目的とするもので、今回の資金調達を踏まえて、全樹脂電池の量産技術の確立、製造販売の開始に向けて投資を実施する。また、全樹脂電池の量産やその後の市場展開において必要となる各分野において、豊富な経験を持つ新たなパートナーの支援を得ることで、APBは成長を加速することになる。
APBは、バイポーラ積層型のリチウムイオン電池である全樹脂電池の製造及び販売を行うスタートアップ企業となる。
全樹脂電池は、界面活性制御技術を有する三洋化成工業が新開発した樹脂を用い、活物質に樹脂被覆を行い、樹脂集電体に塗布をすることで電極を形成している。この独自の製造プロセスにより、従来のリチウムイオン電池よりも工程を短縮することで、製造コスト・リードタイムの削減を実現するとともに、これまでにない高い異常時信頼性とエネルギー密度を実現している。部品点数が少なくて済むバイポーラ積層型で、樹脂で構成しているため、電極の厚膜化が容易に行え、セルの大型化が可能で形状自由度が高いことも特長となっている。