研究用検査キットを発売 クラボウ 新コロ抗体を検出

2020年03月16日

ゴムタイムス社

 クラボウは3月12日、研究用に新型コロナウイルス(SARS―CoV―2)の抗体を15分で検出する検査試薬キット「新型コロナウイルス抗体検査試薬キット」の国内販売を、3月16日から開始すると発表した。

 同社の環境メカトロニクス事業部バイオメディカル部は、これまで食品中の成分や食中毒菌などのDNAを短時間で判定できる核酸クロマト法やイムノクロマト法試薬キットの開発・販売を行ってきた。今回、中国の提携先企業が開発したイムノクロマト法の原理に基づいた同キットを日本国内に輸入し、販売を開始する。

 同キットは、少量の血清・血漿・全血をピペッターで専用のテストストリップに添加したのち検体希釈液(専用試薬)を滴下することにより15分で新型コロナウイルス感染の有無を目視で簡単に判定できる。これにより、少量の血液を用いた簡便な操作で、迅速な検査が可能となる。また、特殊な装置や専門知識も必要がないため、PCR法の遺伝子検査と比べても、時間、コスト、作業スペースの削減など検査の大幅な効率化が図れる。

 一般的なPCR法では、感染初期の患者に対してはウイルスの検出が難しいと言われているが、同キットでは、感染時に体内で生成される特定の抗体を検出するため、感染初期の患者に対しても判定が可能。また、PCR法が採取サンプル中のウイルス量の影響を受けやすいのに対し、同キットでは血液中に抗体が存在すれば判定が可能なため、サンプル採取方法や採取部位による偽陰性が出にくいという特長がある。さらに、血液を使って判定できるため、検体採取時に懸念される検査作業者への二次感染のリスクも軽減できる。

 感染の初期段階で生成される抗体「IgM」用の検査キットと、感染後長期間にわたり最も多く生成される抗体「IgG」用の検査キットの2種類があり、これらを併用することで、より精度の高い検査が可能となる。

 なお、いずれのキットも体外診断用医薬品ではなく、新型コロナウイルスの抗体の有無を見るための研究用試薬キットとしての使用に限定される。

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