ランクセスは3月13日、2019年度通期の業績を発表した。厳しさを増す経済環境にも関わらず好業績を達成し、特別項目を除いたEBITDAは前年比3・3%増の10億1900万ユーロとなり、10億~10億5000万ユーロとしていた業績予測の中間値を達成した。
アドバンスト中間体、スペシャリティアディティブス、パフォーマンスケミカルズの3部門の堅調な業績が、特に自動車産業の需要低迷に起因したエンジニアリングマテリアルズ部門の収益減を相殺したほか、為替の好影響も業績に寄与した。特別項目を除いたEBITDAマージンは、同社設立以来初の15%(前年は14・4%)を達成した。
昨年12月末日付で皮革用化学品ビジネスユニットは非継続事業となり、これに伴いグループの売上高と特別項目を除いたEBITDAの数値が修正された。同社は、戦略的な事業再構築の一環として同ビジネスユニットを売却する意向。同社は、既にクロム化学品事業とクロム鉱山の株式を昨年売却している。
同社グループの連結売上高は68億200万ユーロで前年と同水準。継続事業による純利益は前年比14・9%減の2億4000万ユーロ。これは主に有機金属事業の再構築に関する特別費用計上による。
2020年度も事業活動は安定すると見込むが、新型コロナウイルスの感染拡大が通期業績に5000万~1億ユーロの影響を与えると予測している。2020年度の特別項目を除いたEBITDAは9億~10億ユーロとなる見通し。2020年度第1四半期は新型コロナウイルスの感染拡大の影響を約2000万ユーロと見ている。
2019年度の業績を部門別に見ると、アドバンスト中間体部門は、前年度を上回る好業績となった。特にサルティゴビジネスユニットの農薬分野における順調なプロジェクト事業と為替の好影響が寄与した。原料価格の低下に伴う販売価格の値下げにも関わらず、売上高は前年比1・9%増の22億4900万ユーロ、特別項目を除いたEBITDAは前年比8・4%増の3億8900万ユーロとなり、特別項目を除いたEBITDAマージンは17・3%(前年16・3%)に増加した。
スペシャリティアディティブス部門は、自動車産業の需要低迷および低マージンの受託製造契約終了にも関わらず順調に推移し、為替が好影響を与えたほか、ポリマーアディティブスビジネスユニットが堅調だった。売上高は19億6500万ユーロで前年度と同水準、特別項目を除いたEBITDAは、前年比2・9%増の3億5300万ユーロ。ケムチュラ事業の統合によるコストシナジー効果もあった。特別項目を除いたEBITDAマージンは18・0%(前年17・3%)に増加した。
パフォーマンスケミカルズ部門の売上高と収益は、水処理製品と物質保護製品を取り扱うビジネスユニットの好業績と為替の好影響が寄与し、大幅に増加した。売上高は前年比7・8%増の10億5200万ユーロ、特別項目を除いたEBITDAは、前年比23・1%の1億9200万ユーロとなり、特別項目を除いたEBITDAマージンは18・3%(前年:16・0%)に増加した。
エンジニアリングマテリアルズ部門は、自動車産業の需要低迷の影響を受けた。為替の好影響が若干あったものの、売上高は、原料価格の低下に伴う販売価格の値下げにより、前年比8%減の14億5000万ユーロ、特別項目を除いたEBITDAは、前年比10・9%減の2億3800万ユーロとなった。
しかし、特別項目を除いたEBITDAマージンは、16・4%(前年16・9%)と微減に留まった。