住友ゴム工業は3月18日、同社の制振ダンパーがフィリピン・マニラ市にあるチャイナバンク旧本社に採用されたと発表した。チャイナバンク旧本社は1924年に建造された歴史的建造物で、フィリピンでの同社制振ダンパーの採用は初となる。
フィリピン諸島周辺には多くのプレートがあることから、火山や地震活動が活発な地域で、1976年のミンダナオ地震、1990年のルソン島地震などが発生した地震リスクが高い国の一つ。そのため、2001年に建築基準が強化され、政府により古い学校や病院などの施設の耐震改修が促されており、今回の制振ダンパー採用もこの流れの一つ。
同社の制振ダンパーには、超高減衰テクノロジー「GRAST」の技術が搭載されている。この技術は、高減衰ゴムの瞬時に熱エネルギーに変換する性能を利用することで、構造物が受ける風揺れのような微小な揺れから大地震まで、さまざまな揺れを吸収、コントロールする技術で、ビルや橋などにこの技術が採用されている。
チャイナバンク旧本社は、築96年の7階建ての建物で、チャイナバンク旧本社があるマニラ市・ビノンドは1594年につくられた世界最古のチャイナタウンと言われている。歴史的建造物が多く残っており、チャイナバンク旧本社もその一つ。第二次世界大戦後に修復ができなかった古い建築物の修復を行う「Binondo・Heritage・Restoration・Project」の取り組みの一つとして、現在の安全基準に適合するよう改修工事が行われている。