帝人は3月19日、同社が展開する熱可塑性炭素繊維複合材料(CFRTP)製品である「セリーボ」が、このたびパナソニックのデジタル4Kビデオカメラ新製品「HC―X2000」および「HC―X1500」に採用されたと発表した。
セリーボは、製造タクトタイムを大幅に短縮したことで、電気製品や自動車などの部品の量産を可能にした革新的なCFRTP製品で、中でも今回採用されたのは、同社のポリカーボネート樹脂「パンライト」をマトリックスとした射出成形向けのもので、ハンドルユニットおよびトップカバー部分に使用されている。
従来、カメラの筐体やボディにおいて軽量化と強度を両立させるために、チョップドファイバーと呼ばれる炭素繊維が使用されるが、繊維長が短いことにより強度特性の担保が課題となっている。それに対してセリーボは、同社独自の樹脂組成技術により、軽量化と高い強度特性の両立のみならず、優れた難燃性も実現する。
また、独自の樹脂加工技術により、表面に炭素繊維が浮き出ることがなく、表面外観性にも優れている。こうした特長がパナソニックに高く評価され、共同で成形品の開発を重ねた結果、今回の採用に至った。
HC―X2000とHC―X1500は、テレビ放映向けなどプロフェッショナルな現場での映像撮影も可能な「4K60p・10bit」に対応したビデオカメラで、HC―X2000については、従来の機種と比較し約40%の小型化、約15%の軽量化と、連続撮影時間約4時間35分との両立を実現し、ビデオカメラとしての機動性も有している。
同社は、精密機器・電気製品など、量産性および強度、軽量化が求められる用途に向けてセリーボの展開を強力に推進し、複合成形材料におけるリーディングカンパニーとしての地位を確立していく。