ダウは4月3日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、世界5ヵ所の生産拠点で手指消毒剤の生産を開始すると発表した。
新型コロナウイルスの感染拡大により、必要とされる医療・衛生用品が不足していることから、同社が世界中の自社設備を活用した手指消毒剤の生産能力を評価した結果、米ミシガン州のアーバーン、米ウェストバージニア州のサウスチャールストン、ベルギーのスネッフおよびブラジルのオルトランジアの生産拠点において、必要な原料が取り扱われ、調合、包装する能力があることが分かったため、これらの生産拠点で手指消毒剤の生産を開始することにした。これで、既に寄贈用の手指消毒剤の生産を始めた独スターデと合わせ、5つの生産拠点で消毒剤を生産することになる。
同社は、通常は手指消毒剤の生産を行っていないが、必要な原料の大部分は自社拠点において容易に入手できる。加えて、同社の設備の柔軟性により、通常操業にほぼ影響を与えることなく相当量の消毒剤を生産することができる。
地域のニーズや要件を把握するために、同社は各拠点の関連当局と連携しており、米国では、ミシガン州およびウェストバージニア州の当局者、米国食品医薬品局、酒類タバコ税貿易管理局、国土安全保障省と協力した。これらの機関を通じて、同社が許可、ライセンス、原料調達のプロセスの完了に至るまでの有用かつ適切な助言を受けた。
同社のアーバーンの設備は、週におよそ1万5000ポンド(7t)の手指消毒液の生産能力を備えており、これは8オンスボトル3万本近くに相当する。他の生産拠点でも、同様あるいはそれ以上の生産量が見込まれている。これらの全生産拠点でフル生産が行われると、同社全体の生産量は8オンスボトル88万本以上に相当する44万ポンド(200t)超に達する見込み。手指消毒剤の生産は、今回発表された同社の4つの生産拠点において約4週間で行われ、その後同社は、原料の入手状況と市場のニーズに基づいて生産の延長を判断する。
生産予定のすべての手指消毒剤のうち大半は、医療システムおよび政府機関に寄贈され配布される。手指消毒剤は同社の生産拠点にも配給され、現場で働く従業員の保護を強化し、同社の製造設備が確実に安全な操業を継続できるようにする。配給の第1便は、間もなく開始される見込みとなっている。
ジム・フィッタリング同社CEOは、「当社のグローバル規模の設備をコロナウイルス拡大との闘いに役立てることができ、誇りに思う。この取り組みは、原料サプライヤー、州・連邦規制当局、そしてボランティアと協力したチームダウの迅速な努力を通じて可能となった。手指消毒剤の生産は、原料が入手でき、供給が不足している限り継続する予定だ」と述べている。