富士フイルムは4月9日、米国において新型コロナウイルス感染症(以下、COVID―19)の患者を対象とした抗インフルエンザウイルス薬「アビガン錠」(一般名「ファビピラビル」)(以下「アビガン」)の臨床第Ⅱ相試験を開始すると発表した。
「アビガン」は、国内では抗インフルエンザウイルス薬として製造販売承認を取得している薬剤で、ウイルスのRNAポリメラーゼを選択的に阻害することでウイルスの増殖を防ぐというメカニズムを有している。このようなメカニズムの特徴から、インフルエンザウイルスと同種のRNAウイルスである新型コロナウイルスに対しても効果が期待され、臨床応用への検討が進んでいる。すでに本年3月末には、同社子会社である富士フイルム富山化学にてCOVID―19患者を対象とした臨床試験を国内で開始している。
今回、同社は、COVID―19の世界的な感染拡大が続き、ますます高まる治療法の開発ニーズに対応するために、米国でも臨床試験を実施する。同試験は、数十例のCOVID―19患者を対象とした臨床第II相試験で、「アビガン」投与時の治療効果と安全性を確認することを目的としたもの。
なお、同試験は、ブリガム・アンド・ウイメンズ病院やマサチューセッツ総合病院、マサチューセッツ州立大学メディカルスクールの3施設での実施を予定している。