搬送ベルトはゴムや樹脂、スチールなど材質により搬送物の種類や求められる機能も多種多様である。うち、ゴムコンベヤ(搬送)は、鉄鉱石や石炭、セメントなどの原材料や部品などの物資を運ぶために用いられるのに対し、樹脂コンベヤベルトは物流や食品工場、パッケージなどの包装関係やなど様々な産業で使われている。
日本ベルト工業会によれば、19年のゴムコンベヤ全体の生産量(新ゴム量)は前年比8%減の1万3633tとなった。内需については、鉄鋼や砕石向けが堅調だったことや、首都圏を中心にインフラ整備向けの案件も順調な伸びを見せたことで、生産量は前年比微増を維持した。
一方、輸出向けは資源国向けの需要低迷に加え、ベルトメーカーによる現地生産の拡大も加速し、生産量は前年比3割近いマイナスとなっている。
樹脂ベルトの19年の生産量は前年比横ばいの120万7362㎡で、出荷金額は同2%減125億5895万6000円となった。主要需要先の物流向けは、全国各地で配送センターで新設・増設が相次ぎ、これらセンターで使われるベルトの需要が堅調のため、各社の売上に貢献している。また、食品向けも大きな伸びこそないものの、HACCP義務化などを背景に、食品業界がベルトに要求する衛生性のニーズは一段と高まっており、食品向けの需要は比較的安定していると言えそうだ。
ただ、搬送ベルトの足元環境を見ると、需要は陰りが見えている。日本ベルト工業会によると、20年1~2月のゴムコンベヤ全体の生産量(同)は1572tで前年同期比30%減となり、内需は5ヵ月連続、輸出は2ヵ月連続で前年実績を下回っている。
また、20年1~2月の樹脂ベルト生産は21万689㎡で同15%減となり、前年実績を下回る状況にある。
世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスに関して、ベルト各社では「お客様を含めた影響を注視している」としつつ「す感染防止のため営業活動が制限されており、お客様先にお伺いできず、情報収集が難しくなっている」とするなど、影響はすでに表出している模様だ。
そのような厳しい環境下でも、「細かなニーズに応えた特長品の開発に力を注ぐ」(バンドー化学)、「機能性の高い食品業界向けのベルトの開発を進めていく」(ニッタ)、「ベルト部門はHACCP対応を中心に注力していく」(フォルボ・ジークリング・ジャパン)の考え下、各社は新たな需要を喚起すべく、積極的な事業展開を推進していく。
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