デンカは4月13日、持分法適用関連会社である東洋スチレンが、使用済みPS(ポリスチレン)のケミカルリサイクル事業化に向け、プラスチックリサイクルのグローバル企業である米・アジリックス社と日本国内市場における技術ライセンス契約を締結したと発表した。
同社千葉工場内に、使用済みPSを熱分解し、その原料であるSM(スチレンモノマー)を再生する実証設備(年間処理能力約3000t)建設の具体的検討に着手する。2021年度末の操業開始を目指す。
従来のプラスチックリサイクルの手法は使用済みのプラスチックを粉砕し、再度溶融した上で製品を成形するマテリアルリサイクルというもので、特に食品関連容器への利用には一部で制約があった。今回の方式は、ポリマーからモノマーに熱分解しやすいというスチレン系樹脂の特徴を生かしたケミカルリサイクルという手法で、リサイクルスチレンモノマーから製造されたポリスチレンの用途には制限がない画期的な手法だ。またCO2の発生量も通常の生産方法と比較して半減させることが可能となっている。
同社は東洋スチレン社のケミカルリサイクル事業を全面的にバックアップするとともに、政府機関、関係団体との連携にも協力していく。
プラスチックは社会生活に欠かせない素材である一方、使用後の海洋流出により生態系への悪影響や、石油由来原料の使用による温室効果ガス増加等の問題が顕在化し、国際的な重要課題となっている。同社グループでは地球環境保全に積極的に取り組んでおり、環境負荷抑制への厳格な管理とともに、省資源・省エネルギーへの技術革新に努めている。
同社グループは、持続可能な社会の実現のため今後も新たな製品・技術の創造を通じて、地球環境の保全・保護に積極的に取り組んでいくとしている。