住友ゴムはは11月17~18日の2日間、同社の白河工場の製造研修センターで第5回技能オリンピックを開催した。
同オリンピックは2009年の秋からスタートし、タイヤの製造部門全行程において、整備保全を含めた製造部門の技能の向上、技能の伝承の二つを目的として始めてたもの。製造部門を8つの部門に分け、年2回開催。各部門はオリンピックと同様に4年に1度の競技になる。対象部門は工程を8つに分けた成形、加硫などの製造部門5部門と機械保全、電気保全、治工具の保全3部門で、今回は電気保全の競技を行った。
また同オリンピック開催以来の過去最多の9工場(白河、名古屋、泉大津、加古川、市島、宮崎、インドネシア、中国、タイ)が参加し、参加者は各工場から選手1名、コーチ1名、海外工場は通訳1名で競い合った。
競技内容はPLCソフト製作と制御盤製作。3チームに分かれて3組ずつ実施された。
1日目の競技のPLCソフト製作は、選手がワークのピックアップ並び替えを行うためにのプログラムを製作し、装置の動作確認を行った。また制御盤製作では電気保全に必要な技能のうち、配線・線圧着・半田付けを行った。さらに機械技能士の範囲、安全・電気標準を確認するための筆記テストも行われた。
2日目では、PLCソフト製作は選手が2ヵ所の異常を発見し修理し、安全センサー追加に伴いプログラムを変更を行い、動作確認をした。また制御盤製作では操作ボタン取り付けのための穴あけ、モーター配線を行い、動作確認をした。審査ポイントは安全確保ができているか、標準どおり作業できているか、標準時間どおりできているかなどを審査員が選手たちを採点した。
今回、2日目にはマスコミ説明会も同時に行われ、黒田豊執行役員が「今年は東日本大震災によって開催があやぶまれましたが、なんとか年2回開催することができました。この技能オリンピックは回数を重ねるごとに当社にとって重要なイベントになっていると感じています。選手は各工場の代表として、高いモチベーションとプライドを持ってオリンピックに参加しています。また代表選手を送り出す各工場の各工程では、選手をバックアップするために作業の質の向上に取り組んでいるのも貴重な要素だと考えております」と挨拶し、「緊張感あふれる選手たちの懸命な姿をみていただきたいと思います。また選手が背負っている各工場の思いも感じていただければ幸いです」と語った。
また白河工場の概要、東日本大震災での白河工場復興対応などスライドを用いながらの解説もあった。白河工場の震災直後の影響は、ブレスの変形や破断、壁・天井の破断、崩落ちが多かったり、建物の床は土間の陥没が多く、照明器具・スプリンクラー・配管は多数落下したという。しかし震災発生から約1ヶ月半後の4月27日には震災前の生産量に戻ったと説明。実際に震災後工場の被害状況の写真と復興後工場のの写真との比較もあった。また復旧過程で従業員の心のケアを行ったり、放射線に関する情報の展開などの勉強会などを開催した。同社はこの震災の経験を共有するために海外工場を含めた全事業所に横展開を実施している。
全競技終了後の表彰式が行われ、金賞は白河工場の坂本雄太氏、銀賞は中国工場のワン カー氏、銅賞は名古屋工場の日野俊光氏、特別賞はインドネシア工場のバンキット氏となった。金賞を受賞した坂本氏は「今回の受賞を機に日々精進し、技術により磨きをかけ、サービスの向上を目指したい」と今後の抱負を述べ、2日間に及んだ大会が幕を閉じた。