ゴム材料基盤技術にMI利用 TOYO TIREが開発

2020年04月23日

ゴムタイムス社

 TOYO TIREは4月22日、「ナノバランステクノロジー」の一環として、新たにマテリアルズ・インフォマティクス(以下、MI)を利用したゴム材料の特性予測技術や材料構造の最適化技術を開発したと発表した。

 ゴム材料は主要原料であるポリマーに補強剤、各種薬剤が添加された複合材料。いずれの薬剤も製品特性に直接作用するため、その種類や量、加工方法の調整による複雑な制御が必要とされる。 

 今回、MI技術を導入して特性や配合の推測値を高精度に出力するシステムを構築したことにより、最小限のテストで効率的な材料開発が可能となった。

 システムには非線形推定モデルを実装し、データベースに外部情報を取り込むことでこれまでの知見を超えた拡張予測を行い、高性能材料の開発にも活用していく。

 同社では、ナノバランステクノロジーの「分析」の領域において、多様なツールを活用しながら、材料特性の要素を階層別に構造分析、あるいは評価し、開発上の課題を抽出している。

 取得した材料構造や化学構造はデータの次元が異なるため、これまでは主に間接的に特性を推測するための情報として活用してきたが、今回、開発したMI技術を採用し、これら構造情報から材料特性の推測値を算出することができるようになった。さらに、「目標とする特性値から構造を最適化する」という逆問題にも応用できることから、新材料の開発領域にも適用・拡大を進めていく。

 同社では、資産としてストックした既存データをベースに、2018年よりMI技術を用いた配合と物性の予測技術の検証を本格的に行ってきた。その技術の精度を向上させ、2019年には外部情報との紐づけといった対象データの拡大適用も検証。今後、保有データをフルに有効活用できる環境を整備するとともに、従来にない視点での解析方法や予測データを用い、開発を高度に最適化するMI技術を駆使した新素材の実現を進め、「高性能な製品開発」と「開発時間短縮・コスト低減」の両立を図っていく。

 ナノバランステクノロジーは、「分析/解析/素材設計/加工」という4つの体系を横断的に統合し、ゴム材料をナノ(分子)レベルで観察、予測、機能創造、精密制御することによって、理想的なゴム材料開発を実現していく基盤技術。

 同社は、この技術を駆使し、乗用車用低燃費タイヤなどにも採用し、タイヤの転がりよさ(低燃費性能)と制動性(ウェットグリップ性能)といった二律背反する性能を高次元で両立するなど、より付加価値の高い商品群を提供している。また、トラック・バス用タイヤにおいても同様に、ナノバランステクノロジーの素材設計技術による発熱性に優れた配合の低燃費トレッドを採用した商品群の市場投入を行なっている。

 

ゴムの材料構造に対する推測モデルの適用イメージ

ゴムの材料構造に対する推測モデルの適用イメージ

 

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