医療用シールドを開発 ダウがコロナ対策に貢献

2020年04月24日

ゴムタイムス社

 ダウは4月22日、新型コロナウイルスのパンデミックと向き合う医療従事者が必要とする、個人防護具(PPE)の緊急ニーズに対処するため、簡素化されたフェイスシールドデザインを開発したと発表した。このデザインをオープンソースファイルで共有し、極めてニーズが高いPPEの生産率向上に貢献する。さらに、病院への配給を目的としてミシガン州に寄付する10万個のフェイスシールドの生産に向けて、協力して取り組んでいる。

 ポリエチレン樹脂の代表的メーカーである同社は、通常は消費者が最終的に使用するプラスチック製品を生産していない。しかし、新型コロナウイルスのパンデミック対策に向けた取り組みとして、テキサス州フリーポートにおけるパック・スタジオ応用開発施設が備える試作・製作能力を生かし、フェイスシールドの樹脂フィルム技術を迅速に開発した。また、他のバリューチェーンパートナーと協働し、シールドの装着感を向上させるフォームコンフォートストリップの製造業者の特定に取り組んでいる。

 このフェイスシールドのデザインには非常に柔軟性があり、シールドは入手しやすい各種ポリマーから生産でき、水流やレーザー、ダイカット技術といった種々のハイスループット技術を利用したカッティングが可能となっている。また、シールドと前額部のクッションという2つだけの部品で構成されたシンプルかつ軽量なものであるため、生産鈍化の要因となる複数部品の組み立てが排除され、配給をより迅速に展開できる。

 オープンソースデザインを共有するほか、同社は病院への配給のためミシガン州に寄付される10万個のフェイスシールドを生産する。ミシガン州を拠点とするtinkrLABは、レーザーカットと組み立てを担う主要開発パートナーの役割を果たしており、既に生産の初期割当を完了している。

 いくつもの試作品が実地に試験され、医師や看護士など医療従事者からのフィードバックが、最終デザインの開発で役立てられた。フェイスシールドの使用は一度限りということが多いものの、特定のフィルム組成を活用した場合、シールドは殺菌され再利用が可能となる。このフェイスシールドは、米国食品医薬品局のガイダンスに記述された制限事項と、公衆衛生上の緊急事態期間中のフェイスシールドに関して発せられた緊急使用許可と一致した形で開発、配給されている。

 なお、フェイスシールドの生産に関心がある企業や個人は、デザインファイルへオンラインでアクセスすることができる。また、ダウはこの重要なPPEの開発を継続するため、フィルム製造とカッティングの能力を有する他社とパートナー関係を結ぶことも検討している。

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