廃タイヤ再利用技術開発へ ミシュランが欧企業と提携

2020年04月27日

ゴムタイムス社

 ミシュランは4月24日、使用済みタイヤをリサイクルする熱分解テクノロジーの大規模な開発・事業化を目指し、スウェーデンのエンバイロ社との提携を進めていると発表した。

 2001年設立の社員20人から成る新興企業であるエンバイロ社は、熱分解プロセスにおいてエネルギー消費を最小限に抑えながら、素材の化学的組成および物理的状態を変化させるテクノロジーを開発した。この最先端の革新的なテクノロジーを利用して、再生カーボンブラック、熱分解油、鋼鉄など他の産業分野の生産工程で再利用することができる生成物を生産することができる。このリサイクルテクノロジーにより、現在は廃棄物として処分されているタイヤも原材料としてリサイクルできるようになる。

 今回の提携では、エンバイロ社の熱分解テクノロジーを大規模に展開するために開発契約を締結する。エンバイロ社の株式の20%に当たる1億1616万5223株を取得するため、ミシュランは総額3252万6262クローネ(約300万ユーロ)を出資し筆頭株主となる。ミシュランは、エンバイロ社を支援するため、取締役になる人員を派遣する予定で、株主総会に提案することにしている。4月15日には株式引受手続きに署名している。また、このテクノロジーの事業化を進めるための工場建設共同プロジェクトを発足させる計画で、工場の立地を検討している。

 この提携により、両社は相互に補完し合うノウハウを持ち寄り、タイヤのリサイクルを加速させる。ミシュランは自社の事業ノウハウを工場建設プロジェクトや研究開発・製造に活かし、エンバイロ社は特許権を取得している熱分解テクノロジーを提供することで、高品質の製品を生み出していく。現在、2020年の半ばまでの最終的な合意に向けて、両社の話し合いが進んでいる。

 ミシュランのサービス&ソリューションハイテクマテリアルビジネス部門のディレクターであるソニア・アーティニアン・フレドウ氏は、「エンバイロ社との提携は、ミシュランの『すべてを持続可能に』というビジョンに沿っている。ハイテクを活用して使用済みタイヤから微粉化である粉末を抽出する専門事業者リーハイテクノロジー社を2017年に買収したことに続き、今回の提携も、ミシュランがリサイクルと持続可能なモビリティに長期的にコミットしていることの確かな証しである」と述べている。

 毎年、約10億本ものタイヤがその役割を終えており、タイヤ産業とその顧客にとってリサイクルは大きな課題となっている。今回開発するリサイクルテクノロジーにより、使用済みタイヤが良質の原材料に生まれ変わることになる。

 

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