帝人の20年3月期連結決算は、売上高が8537億4600万円で前期比3・9%減、営業利益は562億500万円で同6・3%減、経常利益は543億3700万円で同9・8%減、当期純利益は252億5200万円で同44・0%減。アラミドや国内ヘルスケアおよびITの収益は概ね堅調に推移したが、欧米での主力医薬品の後発品発売やポリカーボネート樹脂の市況低迷の影響を受けた。経常利益では、為替影響による営業外収益の減少等が影響した。純利益では、フィルム事業子会社譲渡に係る一時費用や、繊維・製品事業の子会社に係る減損損失の計上等が影響がした。
セグメントのうち、マテリアル領域は、売上高が6338億円で同5・6%減、営業利益は213億円で同9・3%減。欧州や中国における自動車需要減等の経済環境悪化の中、高機能材料分野は比較的堅調に推移したものの、ポリカーボネート樹脂市況低下の影響等により、減益となった。
同領域のマテリアル事業は、アラミド分野で主力のパラアラミド繊維が自動車需要減少の影響を受け、摩擦材、ゴム補強材等の自動車関連用途の販売数量がやや減少したものの、売値・販売構成の改善が収益に貢献した。樹脂分野は、主力のポリカーボネート樹脂の需要が米中貿易摩擦や新型コロナウイルス感染拡大の影響等で低下したものの、販売量は前期並みを維持した。汎用品部分では販売価格低下の影響を受けた。ポートフォリオ変革の一環として、フィルム事業子会社を東洋紡に昨年10月に譲渡した。
同領域の複合成形材料分野では、北米のピックアップトラックやSUV等の需要増を背景に、米国で自動車向け量産部品の販売が概ね堅調に推移したが、3月以降は新型コロナウイルスの感染拡大により生産・販売が影響を受けた。
ヘルスケア領域は、売上高が1539億円で同2・3%減、営業利益は326億円で同8・2%減だった。
21年3月期は、新型コロナウイルスの感染症拡大の影響により第1四半期は国内外の経済活動が大きく影響を受けるものの、第2四半期から経済活動が徐々に正常化していくことを前提として業績予想を策定し、売上高が7500億円で前期比12・2%減、営業利益は400億円で同28・8%減、経常利益は400億円で同26・4%減、当期純利益は230億円で同8・9%減を見込んでいる。
2020年05月15日