3Q以降業績回復し増益 カネカの21年3月期

2020年05月15日

ゴムタイムス社

 カネカの2021年3月期連結決算は、売上高が5774億2600万円で前年同期比4・0%減、営業利益が275億4400万円で同5・9%増、経常利益が220億6600万円で同9・4%増、当期純利益は158億3100万円で同13・1%増となった。

 セグメント別に見ると、マテリアル・ソリューションズ・ユニットの売上高は2305億円で同4・7%減、営業利益は233億円で同12・8%増となった。
 Vinylsは、コロナ対応で旬の衛生用手袋(ペースト)を筆頭に、アジアの塩ビ市場全体が急回復しており、その旺盛な需要に応えるために内外の工場はフル稼働を続けている。
 MODは、欧米の建材・DIY用途やアジアの非塩ビ用途(自動車、パソコン・家電向け)の需要増を取り込み、塩ビ系・非塩ビを問わずグループ全体の販売は前年を大きく上回った。
 MSは、欧米で新製品の販売が拡大するとともに、中国・アジアの建築用途や工業用途の開拓が開花期を迎え3Q・4Qは過去最高水準へと販売を伸ばした。
 生分解性ポリマー「Green Planet」は、カーボンニュートラルをめざす世界の潮流が鮮明になり、引き合いが急増している。世界の大手ブランドホルダーとの共同開発やニーズに応える加工技術開発、一層のコストダウンの取り組みを加速させている。量産プラントの決定は最終ステージとなっている。

 クオリティ・オブ・ライフ・ソリューションズ・ユニットの売上高は1410億円で同9・0%減、営業利益は107億円で同24・9%減。
 Foamは、国内の農水産業や住宅着工が低迷するなか、スチレン系発泡樹脂及び押出ボードがシェアを伸ばし販売が拡大した。発泡ポリオレフィンは自動車生産の世界的回復に伴い販売が復調している。またコロナワクチンを安全に運ぶ低温輸送ソリューション素材「Tack Pack」が政府・地方自治体で採用開始され、また一つ新しい用途が開いた。
 PVは、ハウスメーカーでの搭載率アップなど住宅向け高効率太陽電池の販売が着実に増加。カーボンニュートラルイシューはこの事業にとって絶好のチャンス。ゼロエネルギー住宅(ZEH)、ゼロエネルギービルディング(ZEB)の社会実装化にフィットした「発電する窓(シースルー型太陽電池)」、「発電する壁(壁面設置型太陽電池)」など省エネソリューションの市場拡大を進めている。
 E&Iは、リモートワーク拡大に伴うタブレット・ノートPCやスマホの需要が拡大。好調に推移しピクシオの出荷は過去最高レベルになった。5Gスマホ向け新製品の開発も順調に進展し、ポリイミドワニスも有機ELディスプレイ搭載スマホへのシフトが進み販売が拡大した。
 Fiberは、アフリカ向けの頭髪が3Qを境に順調に回復し4Qには前年を大きく上回る販売となった。

 2022年3月期の連結業績予想は、売上高が6200億円で前年同期比7・4%増、営業利益が370億円で同34・3%増、経常利益が325億円で同47・3%増、当期純利益は220億円で同39・0%増を見込んでいる。

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