住友ベークライトの20年3月期連結決算は、売上収益が2066億2000万円で前期比3・0%減、事業利益は143億4600万円で同17・0%減、営業利益は102億8500万円で同24・3%減、当期利益は89億8600万円で同40・4%減となった。期初からの製造業全般にわたる景況感の低迷影響に加え、為替影響、新型コロナウイルス感染拡大の影響等を受け、減収となった。損益については、自動車向けを中心とする高機能プラスチック関連製品の販売不振、半導体関連材料での原料価格上昇、航空機用途向け製品の販売環境悪化に伴う構造改革費用の増加等が響き、減益となった。
セグメント別では、半導体関連材料は、売上収益が498億2400万円で同2・0%増、事業利益は76億8400万円で同3・9%減。半導体封止用エポキシ樹脂成形材料は、秋季以降販売が増加傾向に転じ、増収となった。感光性ウェハーコート用液状樹脂も、年度前半の好調を受け、増収となった。
高機能プラスチックは、売上収益が848億8200万円で同9・5%減、事業利益は40億6500万円で同39・0%減。期初から全世界的な自動車市場の低迷、米中貿易摩擦による中国からの米国向け電機製品の輸出減、原油安による米国子会社のシェールガス・オイル向けの販売不振が続いていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって中国での自動車生産・販売台数が急落したことで、工業用フェノール樹脂、フェノール樹脂成形材料および銅張積層板は売上収益が減少した。長期的な原油安に伴う原料価格の低下により工業用フェノール樹脂の市場価格が低下し、売上収益の減少要因となった。自動車用成形品は環境規制関連用途において、中国国内での大口顧客の獲得により大きく売上収益を伸ばした。
クオリティオブライフ関連製品は、売上収益が712億700万円で同2・4%増、事業利益が55億6700万円で同2・7%増。ビニル樹脂シートおよび複合シートについては、食品包材用途は暖冬の影響で販売が落ちたが、医薬品包装用途がジェネリック医薬品メーカー向けに好調を持続し、売上収益は大幅に増加した。ポリカーボネート樹脂板および塩化ビニル樹脂板では、サングラス等に使用する偏光板は、欧州市場をメインに拡販を進め、売上収益を伸ばした。
21年3月期は、新型コロナウイルス感染拡大が及ぼす影響について現段階での合理的な算定が困難であるため、未定としている。
2020年05月19日