DICの20年12月期第1四半期連結決算は、売上高が1816億5500万円で前年同期比4・7%減、営業利益は99億2400万円で同22・7%増、経常利益は82億9200万円で同1・9%増、四半期純利益は46億500万円で同13・2%減。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により経済活動が制限され景気の悪化が急速に進んだことから、出版用インキや化粧品用顔料などの分野で出荷が落ち込んだ。一方、生活必需品である食品包装分野や5Gに関連した半導体分野などは需要が高まったことから、関連する製品の出荷が堅調に推移した。営業利益は、原料価格の低下に加え、感染防止対策として活動を制限したことによる活動経費の減少や合理化を含めたコスト削減効果などにより、大幅な増益となった。純利益にはBASF社の顔料事業取得に伴う買収関連の一時費用が影響した。
セグメントのうち、パッケージング&グラフィックは、売上高が993億円で同3・9%減、営業利益は40億円で同24・2%増。食品包装分野は、新型コロナウイルスの感染拡大により家庭向けの食品需要が高まり、増収となった。多層フィルムは、国内を中心に増収となった。
ファンクショナルプロダクツは、売上高が612億円で同5・9%減、営業利益は48億円で同34・0%増。半導体分野やスマートフォンを主用途とするエポキシ樹脂や工業用テープは、出荷が好調だったが、新型コロナウイルスの感染拡大により自動車など幅広く工業製品の需要が落ち込んだことから、UV硬化型樹脂以外のサステナブル樹脂の出荷が落ち込んだ。自動車の軽量化や電装化に伴って用途が拡大しているPPSコンパウンドは、顧客での在庫確保が進み、海外での出荷が堅調に推移した。エポキシ樹脂など高付加価値製品の出荷が好調であったことや、原料価格の低下によるプラス影響を受けたことにより、大幅な増益となった。
通期予想は、新型コロナウイルス感染拡大による業績への影響について合理的な算定が困難であるため、前回の公表値を据え置き、売上高が8100億円で前期比5・4%増、営業利益が450億円で同8・9%増、経常利益が440億円で同6・5%増、当期純利益が235億円で同横ばいを見込んでいる。