ダウは5月21日、同社とワールプール・コーポレーションおよびレイノルズ・コンシューマー・プロダクツが提携し、新型コロナウイルス流行の最前線で立ち向かう医療従事者に防護マスクを提供することを発表した。同共同プロジェクトでは、WINヘルスラボを通じてヘアキャップやマスクなどの保護具を製造、販売し、初期生産分は病院に寄付される。
共同チームにより制作された個人保護具(PPE)は、電動ファン付き呼吸用保護具またはPAPRと呼ばれ、従来の医療用マスクとバイザーに代わる役割を果たす。取り換え可能なポリエチレン樹脂製のフェイスシールドが特長。この透明なシールドは、柔軟で付け心地がよく、別の患者を診る際に素早く取り換えることができる。
同社、ワールプール・コーポレーション、レイノルズ・コンシューマー・プロダクツが、それぞれの支援の方法を探している中でこのユニークな連携が誕生した。WINヘルスラボ社長でワールプール・コーポレーションの技術担当バイスプレジデントであるクリスチャン・ジアンニ氏は、「各社内の有志は、地元の医療機関に支援の手を広げ、どのように役立てるか調査した。設計工程を加速するため、私たちは敏捷性を持ったバーチャルチームを結成し、書類作業から製品の認証まで、わずか7週間でたどり着いた。このユニークな結び付きと非常に有能な人材が費やした膨大な努力によって、現在、防護マスクを製造し、地元の最前線に立つ医療機関を支援することができている」と、述べている。
ワールプール・コーポレーションは、ヘッドセットの設計、製造、組み立てを担当した。同社がポリエチレン樹脂をフェイスシールド用に提供し、Heftyブランドのメーカーであるレイノルズ・コンシューマー・プロダクツが、使い捨てフェイスシールドを設計、製造した。また、フォルクスワーゲン・オブ・アメリカが、素材とサプライチェーンに関わる業者を仲介し、重要な部品を調達した。
同社会長兼CEOのジム・フィッタリング氏は「この連携は民間部門による継続的な取り組みの証であり、業界を越えて行われる素早い対応は、かつてなく必要とされるタイミングで医療ソリューションを革新する。ダウのチームは、この取り組みに参加できることを誇りとし、新型コロナウイルスとの戦いにおいて引き続き、時間と能力、そして素材科学の専門性を提供する」と、述べている。
ワールプールと同社が操業している地域にある病院と、PPEを必要とする他の病院に寄付するため、第一段階では2000ユニットが製造されている。必要とされるPPEをなるべく多くの医療機関に届けるため、Heftyのチームが最初のフェイスシールド100万個を寄付している。レイノルズ・コンシューマー・プロダクツCEOのランス・ミッチェル氏は、「安全で効果的なPPEを提供するこの取り組みに貢献できてうれしく思う。複数の企業が知見を持ち寄ることで、最も必要な時に新しいシールドを届けることができた」と述べている。
防護マスクは生産中であり、米国食品医薬品局(FDA)の緊急使用許可機関によって明記されたガイドラインのもと、短期間で使用可能になった。これによって、当局は公衆衛生緊急事態時に必要な医療対策を可能とし、使用を促進できる。
ワールプール・コーポレーション会長兼CEOのマーク・ビッツァー氏は、「この危機に関わるあらゆる医療従事者の勇気と責任感に感謝する。ダウおよびレイノルズと連携しながら、最重要となる装備を最前線の医療従事者に提供し、彼らとその患者をパンデミックとの戦いから守る手伝いができることを光栄に思う」と述べている。
ミシガン州保健局バーリン郡保険官のニッキー・ブリテン氏によると、新型コロナウイルスへの対応は継続し、しばらく続く。同氏は、「医療従事者向けに必要なPPEがなくては、ウイルスがさらにまん延し続け、最終的には新型コロナウイルスのためにより多くの命が失われることになる」とコメントしている。
米国ミシガン州セントジョセフにある医療機関スペクトラム・ヘルス・レイクランド(ワールプール・コーポレーション本社近くに所在)の理事長で医学博士のローレン・B・ハメル氏は、「私たちは、N95マスクと防護マスクを通常の10倍の速さで消費している。これらは、ウイルスに感染した患者に直接かつ頻繁に接する最前線に立つ医療従事者の安全を確保するため、最重要の医療用品となる」と、コメントしている。