JSRは5月21日、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻(以下、東大理物)と同社が包括的連携に合意し、2020年4月1日より、共同研究を開始したと発表した。
東大理物は包括連携を通して、社会に深く浸透したさまざまな材料の機能の理解を深め、その探究を通して普遍的真理と新たな学問領域を見出す。また、同社はその成果として、アカデミアと産業界の融合による、新たな高機能材料を社会に導出する。同包括連携にはフェローシップも含まれており、このような取り組みは東大理物130年以上、同社60年以上の歴史の中で、お互い初の試みとなる。
具体的な取り組みとして、「東京大学とJSRによる、物理と化学を融合させた共同研究拠点の設置」「世界に羽ばたく人材育成―博士課程学生への給付型フェローシップ『JSRフェローシップ』の創設」「サイエンスと産業技術の融合による新技術・新材料の創出」の3点が挙げられる。
まずは「東京大学とJSRによる、物理と化学を融合させた共同研究拠点の設置」。包括連携では東京大学本郷キャンパス理学部1号館に協創オフィスとして「JSR・東京大学協創拠点CURIE」を設置して共同研究を実施する。協創拠点の名称であるCURIEは、物理学賞、化学賞の2度のノーベル賞を受賞したマリ・キュリー氏の名にちなみ、物理と化学の融合による大きな研究開発成果の創出を願い、命名した。
次に「世界に羽ばたく人材育成―博士課程学生への給付型フェローシップ『JSRフェローシップ』の創設」。包括連携において、化学をベースとした実学と物理学との融合を目指した共同研究を推進すると共に、物理学専攻の博士課程学生を対象とした給付型フェローシップである「JSRフェローシップ」を創設した。
3点目は「サイエンスと産業技術の融合による新技術・新材料の創出」。同包括連携を通じ、同社は製品の機能発現原理を深く理解し、サイエンスに基づく物理と化学の融合により、非常に高い差別化性能を有する製品開発を推進していく。
川橋信夫同社代表取締役社長兼COO兼CTOは、「東大理物は、素粒子から光、物性、宇宙、さらには、生物まで、あらゆる分野を網羅する、日本最大かつ世界でも最大規模の物理学研究の拠点。JSR製品の機能を飛躍的に向上させるサイエンスを共に構築できる最適なパートナーと考えており、今回の包括連携がスタートできたことを大変うれしく思う。化学と物理という未来志向の包括連携となるが、本包括連携の成果として、弊社の企業理念であるMaterialsInnovationを起こし、これまでになく高い性能を持った製品を社会実装していく。同時にJSRフェローシップで将来の日本の産業界を発展させる人材を育成することで社会に貢献していく」と述べている。