◆2019年の出荷動向
カーボンブラック協会がまとめた2019年のカーボンブラック品種別実績によると、生産量は全体で58万911tで前年比2・8%減、出荷量は58万1795tで同2・1%減となった。
出荷量の内訳は、ゴム用ファーネスが54万7752tで同1・7%減、非ゴム用その他は3万4043tで同7・9%減。
ゴム用の国内出荷の内訳は、タイヤ向けが40万8265tで同0・9%減、一般向けが12万3064tで同2・3%減だった。
カーボンブラックの主要需要先であり出荷量の7割以上を占めるタイヤは、2019年の生産がゴム量ベースで同0・6%増(JATMA調べ)だったが、カーボンブラックのタイヤ向けの国内出荷は前年をやや下回った。
また、19年のカーボンブラックの輸出量は5万2921tで同8・7%減、輸入量は15万6739tで同2・2%減となった。
◆2020年の需要見通し
一方、2020年の需要見通しについては、同協会が2月6日に発表した2020年の需要見通しによると、内需と輸出を合わせた今年のカーボンブラックの総需要は、77万5218tで19年実績見込み比0・6%減の予想となっている。この需要見通しには新型コロナウイルスの影響は加味されていない。
需要予測の指標としては、今年の国内自動車生産台数を前年比1%減、タイヤ生産を同1%減、一般ゴム生産を同横ばい、新ゴム消費量を同1%減と想定した。
需要予測の内訳は、タイヤ向けが53万7356tで19年実績見込み比0・8%減、ベルトやホースなどの工業品が中心の一般ゴム向けが15万862tで同横ばいと見込み、ゴム用の合計を68万8218tで同0・6%減と予測した。非ゴム向けは3万4000tで同0・1%減と見込み、これらを合わせた内需合計は、72万2218tで同0・6%減と予測した。
輸出については、5万3000tで同0・9%減と予測した。このうち、ゴム用は1万6000tで同2・2%減と見込んだ。
一方、輸入は、ゴム用が14万4000tで同横ばい、非ゴム用が1万3000tで同横ばいと見込み、合計で15万7000tで同横ばいと予測している。
カーボンブラックの輸入をめぐっては、近年はインドとタイからの輸入が増えており、19年の輸入量は、インドが前年比22・9%増、タイが同6・8%増となっている。その他の国は、中国が14・9%減、韓国が同3%減となっている。19年の輸入量全体に占める各国のシェアは、中国が33・5%、タイが30・4%、韓国が17・9%、インドが8・5%、その他が9・2%となっている。
◆2020年1~3月の出荷動向
2020年に入ってからの動向としては、同協会がまとめた1~3月のカーボンブラック品種別実績によると、生産量は全体で13万6147tで前年同期比7・2%減、出荷量は13万2988tで同9・2%減となった。前年同期からの減少幅が需要予測の水準より大きくなっているのは、新型コロナウイルス感染拡大の影響によるものと見られる。
出荷量の内訳は、ゴム用ファーネスが12万6208tで同8・4%減、非ゴム用その他は6780tで同22・0%減。
ゴム用の国内出荷の内訳は、タイヤ向けが9万3775tで同8・1%減、一般向けが2万8520tで同8・2%減だった。
カーボンブラックの主要需要先で出荷量の7割以上を占めるタイヤの生産量は、20年1~3月はゴム量ベースで前年同期比8・4%減(JATMA調べ)となった。対面業界のタイヤ生産が減少したことが影響し、カーボンブラックのタイヤ向けの国内出荷は前年を下回ったと推測される。
また、1~3月のカーボンブラックの輸出量は1万2148tで同11・8%減、輸入量は3万9364tで同2・6%減となった。
なお、3月単月では、カーボンブラックの生産量は4万3965tで前年同期比16・5%減、出荷量は4万5680tで同12・6%減だった。
3月の出荷量の内訳は、タイヤ向けが3万2838tで同11・2%減、一般向けが9443tで同12・0%減。在庫量は6万9816tで同12・0%増、在庫率は153%となった。
また、3月の輸入量は1万5339tで同7・5%増となり前月のマイナスからプラスに転じ、輸出量は4172tで同12・0%減となり13ヵ月連続でマイナスとなった。
◆足元の動向
新型コロナウイルスの感染拡大により自動車メーカー、タイヤメーカーが生産調整を行っていることから、カーボンブラック業界も当面の間は需要の低迷が続きそうだ。
しかし、