日本ゼオン(東京都千代田区、田中公章社長)の19年度は、需要家の景況が総じて芳しくなく、8月以降出荷にブレーキがかかった。これは、自動車産業の世界的な低迷の影響が大きいが、建設機械、工作機械など一般工業品用途も同様に厳しい状況となった。合成ゴム事業は、数量は前期比2%減、売上は同11%減。売上の減少幅の方が大きいのは、原料価格下落に伴う製品価格の下落と市況軟化の2つが要因となった。新型コロナウイルスの本格的な影響が出てくるのは今年度と同社は見ている。
こうした中、同社では、生産能力を増強しているアクリルゴム(ACM)と水素化ニトリルゴム(HNBR)の販売拡大を進める。
ACMの「ニポールAR」は、フッ素ゴムからの代替需要をターゲットに、耐熱性、耐油性が求められる自動車のシールやガスケット、ホースなどの重要保安部品用途を中心に展開している。今春完工するタイの新工場(年産5000t)は、今年度にサンプルを生産し顧客の承認を得た上で、来年度から本格的な販売を予定する。
HNBRの「ゼットポール」は、特殊架橋タイプを武器に、耐熱性や耐油性が求められるOリングやシールでの採用拡大を図る。新型コロナウイルスの