三菱ケミカルは6月9日、同社と日本製紙が、同社の生分解性樹脂「BioPBS」と日本製紙の紙製バリア素材「シールドプラス」という、ともに再生可能な原料から製造される生分解素材を用いた循環型包装材を共同開発したと発表した。
BioPBSは、同社が開発、基本特許を有し、当社とタイのPTTグローバルケミカル社が折半出資するPTTMCCバイオケム社が製造する植物由来の生分解性樹脂で、自然界の微生物によって水と二酸化炭素に分解されるため、自然環境への負荷が少ない樹脂素材。また、他の生分解性樹脂に比べ、低温ヒートシール性・耐熱性・柔軟性などで優れた性能を有している。
シールドプラスは、日本製紙が長年培ってきた紙の製造技術と塗工技術を応用し、再生可能な循環型素材であり、生分解性も有する「紙」に酸素・香りのバリア性を付与した、環境に優しい素材。バリア機能により、内容物(主に食品)の品質を維持し、外からのにおい移りを抑えることができる。また、「紙製」なので、フィルムとは異なる紙独特の風合いがあるのも特徴。
プラスチックごみ問題への対策が求められていることを背景に、菓子のパッケージやストロー等で従来のプラスチック製から生分解性のある樹脂や紙製への代替需要が高まっている。今回開発した包装材は、再生可能な原料を用いた生分解性のある循環型の製品でありながら、BioPBSのヒートシール性とシールドプラスのバリア性により、内容物の品質劣化を防止する高い機能性を有している。今後は菓子やコーヒー豆等の食品をはじめとしたパッケージ用途に展開する。
同社は、同社グループが掲げる「KAITEKI」の実現に向け、今後もBioPBSをはじめとする生分解性樹脂や植物由来樹脂の研究開発・用途展開を加速させ、サーキュラーエコノミー(循環型社会)の構築やSDGsの達成に貢献していくとしている。