新型コロナ対策の研究を支援 BASF、データを無償提供

2020年06月18日

ゴムタイムス社

 BASFは6月17日、新型コロナウイルス感染者の治療に適した有効成分を探索する学術研究グループを世界中で支援していると発表した。

 新型コロナウイルスに対する適切な有効成分を迅速に同定するため、世界中の学術機関が、他のウイルス性疾患で既に使用されている承認済の薬の有効性を細胞培養で試験している。しかし、これらの化合物は十分に有効ではない可能性があり、活性成分の改良された誘導体を探索する必要がある。そこで同社の研究者は類似化合物を見つけるために、数百万個の分子に及ぶ自社の物質ライブラリーのコンピューター支援検索を実施し、150の有望な候補を特定した。同社はこれらの分子を、特許請求を行わずに、学術研究グループが無料で利用できるようにした。

 また、PostEra社のCOVID―19ムーンショットプロジェクトの共同研究に参加し、自社で有する分子設計用に独自のコンピュータープログラムを開発したスーパーコンピューター「Quriosity」を活用して、多くの新しい分子を設計した。最終的に、シミュレーションで主要なプロテアーゼの活性部位に最も適合する分子を20個発見し、さらなる研究のためにこれらの分子の提案を無償で同プロジェクトに提供した。

 なお、シミュレートした分子が実際に合成できるのかどうかはわからないため、この側面に焦点を当てた次のアプローチも進めている。「Quriosity」を活用し、同プロジェクトに参画している委託製造会社の1社が原理的に合成できるすべての化合物をテストした。これにより可能性のあるすべての分子が迅速に合成でき、実験でテストすることができる。同社は、これらの結果をCOVID―19ムーンショットプロジェクトを通して公開する予定。

 同社バイオサイエンスリサーチ本部プレジデントのDr.ペーター・エッケスは、「私たちがもつ化学の専門知識を活かして、有効成分の研究を支援し、学術研究チームに実際の分子と仮想分子の両方を提供できることを大変嬉しく思っている。抗コロナ剤の開発に役立つかもしれない」と述べている。

 学術研究グループによる有効成分探索の支援は、同社の「Helping Hands」キャンペーンの一環。同社は総額約1億ユーロ以上を投じて、新型コロナウイルス感染症対策支援活動を行っている。

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