20年上半期もゴム・樹脂関連で値上げの動きが相次いだ。ゴム関連では、伝動ベルトやコンベヤベルトなどベルト製品で価格改定が実施されたほか、旭カーボン、東海カーボンがカーボンブラックの価格改定を行った。樹脂関連では、ポリプロピレンやポリエチレン、ポリスチレンなど合成樹脂で値上げが行われた。
20年上半期の主な値上げは表のとおり。ベルト関連では、バンドー化学と三ツ星ベルトが価格改定の実施を発表した。
人手不足などを背景に、物流費や人件費の上昇が続くなかで、ベルト各社はコスト上昇を吸収すべく、生産性の向上や原価低減、業務効率化など合理化努力を続けている。ただ、こうした自助努力だけでは製品価格の維持が困難と判断した。
バンドー化学はコンベヤベルトの価格を1月1日受注分より10%以上アップすると発表した。対象商品はコンベヤベルト、フレクスベルコンベヤベルト、ジョイント材料全般。また、同社は5月1日受注分から伝動ベルトおよびプーリについても製品価格を値上げ。値上げ幅は、特殊シンクロベルト(耐油・耐熱仕様)と両面STSベルト、両面シンクロベルトは10%で、その他は5%となる。
三ツ星ベルトは、摩擦伝動ベルトを始め、噛み合い伝動ベルトや金属製品、さらに樹脂コンベヤベルト、ゴムコンベヤベルトを2月1日受注分より値上げした。対象品目と価格改定率は、摩擦伝動ベルトが5%、噛み合い伝動ベルトが5%(特殊品(ダブル、長尺オープン、長尺エンドレス)が10%、特殊仕様(耐油アラミド、工作機械用耐水耐油、超耐熱、背厚等)が10%。その他、樹脂コンベヤベルトとゴムコンベヤベルトの改定率は5%となっている。
カーボンブラックでは、国際海事機関(IMO)による船舶燃料油のSOx規制強化に伴い価格変動が顕著になるなかで、業界では価格指標を重油から原油に変更する動きが見られる。その中で、旭カーボン、東海カーボンが値上げを発表した。
旭カーボンは5月1日納入分より、価格改定額はゴム用全品種が+1・1円/kg、非ゴム用のRCF・ゴム用が+10円/kg、非ゴム用のMCF・LFFが +12円/kg、非ゴム用のHCFが+15円/kg。
東海カーボンもカーボンブラック全品種を5月1日納入分より6・0円/kg値上げした。
一方、樹脂では、ポリエチレンやポリプロピレンなど合成樹脂で価格改定の動きが年明け相次いだ。主原料の国産ナフサ価格が値上がり基調で推移すると予想されたことや、ユーティリティーコストや副原料費も上昇しているためだ。
例えば、プライムポリマーはポリエチレン(HDPE、LLDPE)とポリプロピレン(PP)を1月21日納入分より15円/kg以上値上げすると発表したほか、日本ポリプロはポリプロピレン全製品を1月15日納入分より12円/kg以上値上げすると発表した。
日本ポリエチレンはポリエチレン全製品を来年1月15日納入分より12円/kg以上値上げ。
東ソーはポリエチレン樹脂を1月21日納入分より20円/kg以上値上げ、宇部丸善ポリエチレンもポリエチレンを1月21日納入分より12円/kg以上の値上げを実施。対象製品は、LDPE、EVA、メタロセンLLDPE、LLDPEのポリエチレンと、その他同社取り扱い製品。
また、PSジャパンはポリスチレン樹脂の価格を4月1日出荷分より6円/kg以上値上げ。昭和電工はアクリロニトリルの国内販売価格を4月1日納入分から15円/kg以上値上げ。
そのほか、ブリヂストンが給水給湯配管のメーカー出荷価格を5月1日より平均8%の値上げを実施。対象商品は「プッシュロック」「プッシュマスター」のパイプ・継手・関連部材。物流費関連費や労務費の上昇する中、同社は2006年以降、給水給湯配管の価格を据え置き、生産性の向上やコスト削減などの合理化に努めてきたが、企業努力だけで今後も質の高い商品とサービスの提供を維持することが困難な状況であると判断し、値上げを決めたとしている。