【開発経緯概略】
塩化ビニリデンの重合で得られるポリマーである。塩化ビニリデンの単独ポリマーは高結晶性、高密度であるが、溶融温度と分解温度が接近しているので押出加工は工業的に不可能のため、コーティング時には製膜しない。このため通常は塩化ビニルやアクリロニトリルなどとの共重合物に可塑剤などの添加剤を配合したコンパウンドとしてフィルムや繊維に加工される。難燃性で、耐化学薬品性に優れ、フィルムは透明性が良く熱収縮性、耐電子レンジ性があり、とくに酸素その他の気体や水蒸気に対するバリア性に優れている点を利用して各種包装材やラップフィルムに利用される。
【性質、加工、その特徴】
① フィルムは透明であり、各種気体や水蒸気の透過性が非常に小さい。
② 耐熱性も高く、ほとんどの溶剤に溶けない(加熱時のジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミトなどには溶解)ので、実際に用いられる場合は塩化ビニルやアクリロニトリルと共重合して用いる。軟化温度、溶解性は共重合の割合により変化する。
③ 比較的熱安定性が良く、成形時に着色しにくい。
④ 耐薬品性が良好である。
⑤ 難燃性であり、溶融しないで分解する。
⑥ 押出成形、溶融紡糸、圧縮成形などによって各種の成形品が作られる。また、熱処理によって再結晶化の程度を調節し所期の性質を与えることができる。
⑦ 電気絶縁性は良いが、極性基を含むため高周波電気絶緑性は良くない。
⑧ 耐候性、耐かび性に優れる。
⑨ 比重は、大きな部類に属する。
【新製品への応用と主な用途】