変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)|エンジニアリングプラスチック(エンプラ)

2020年07月15日

ゴムタイムス社

【開発経緯概略】
変性ポリフェニレンエーテルは、主に耐熱性、力学的性質、電気的性質の優れた非晶性のPPEに成形性が良好なスチレン系樹脂などをブレンドして製造される。変性PPEは1960年代にアメリカのGE社で発明された。PPEとPSは、任意の比率で完全相溶するため、ブレンド比により耐熱性の幅広いグレードが生産可能である。またPA、PPなどの結晶性樹脂とのブレンド品が上市され自動車分野等に伸びている。

【性質、加工、その特徴】
① PPE/PSの1/1ブレンド品の基本グレードの比重は1.06で汎用エンプラの中で最も小さい。
② 荷重たわみ温度は、ブレンド比により75~170℃くらいまで変化する。1/1ブレンド品ではガラス転移温度は150℃くらいで実用温度範囲ではガラス状態であり、力学的性質の温度依存性は小さい。
③ 耐熱劣化特性もよく、UL温度指数は、1/1ブレンド品の非強化グレードで機械的性質(衝撃なし)および電気的性質ともに105℃である。ガラス繊維強化グレードでは110℃である。
④ 非晶性であるため耐有機溶剤性は良くない。ベンゼン、トルエンなどで膨潤し、メチルエチルケトン、四塩化炭素、ガソリンなどでは環境ストレスクラッキングによるソルベントクラックが発生する。
⑤ 酸、アルカリには耐性がある。
⑥ 汎用エンプラの中では、耐熱水性が良い。かつ吸水率が小さく、水中使用時の寸法変化が小さい。
⑦ 疲れ強さは汎用エンプラではPCと同程度で小さい。
⑧ 電気的性質は良好である。誘電率、誘電正接は極めて小さく、かつ温度・湿度・周波数による変化も小さい。絶縁抵抗、絶縁破壊強さも優れている。
⑨ 耐紫外線性は良いとはいえない。
⑩ 酸素指数は標準グレードで約22.5%である。難燃剤添加で難燃化できる。この樹脂は燐系難燃剤を使用する。
⑪ 非晶性であるため成形収縮率は、約0.5~0.7%と小さい。

【新製品への応用と主な用途】

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