【開発経緯概略】
パラジクロルベンゼンと硫化アルカリを高温・高圧下で反応させて得られる耐熱性の非常に優れた結晶性スーパーエンプラである。PPSの商業生産を開始した会社はアメリカのフィリップス石油社で、1973年である。重合方法により、架橋タイプ、半架橋タイプ、直鎖タイプに分けられる。
【性質、加工、その特徴】
① 極めて硬く、剛直な熱可塑性樹脂で、成形材料には主にガラス繊維や無機フィラーとの複合材料が使用される。
② 荷重たわみ温度が260℃と非常に耐熱性に優れており、ポリイミド、PTFEの耐熱性に匹敵する。
③ UL温度指数は力学的性質(衝撃無)、電気的性質が220℃、力学的性質(衝撃あり)が200℃である。
④ 融点が285~288℃であるのではんだ耐熱性にも有利である。
⑤ 難燃性に優れ、難燃剤の添加無しでUL94V-0、94-5Vである。
⑥ 強度・剛性が高く、高温でも機械的性質の低下が少ない。
⑦ 耐薬品性が優れており、ほとんどの有機溶剤に侵されず酸化性の酸に高温で侵されるだけで耐熱水性も優れる。
⑧ 吸水性は、0.02%と極めて低く、線膨脹係数も小さいため寸法安定性が良好である。
⑨ 成形性は流動性が良好で、成形収縮率も0.2%以下と小さいため、精密部品の成形に適する。
⑩ 耐摩耗、電気的性質に優れ、非粘着性である。
⑪ 無毒である。
⑫ 無機物との親和性が良いので、ガラス繊維のほか炭素繊維、二硫化モリブデン、グラファイト、PTFEなどをブレンドして高度な摺動材料、金属に代わる高剛性材料となる。
⑬ 粉体の高温焼付けにより金属に密着性の良い、耐熱性、耐蝕性の高い塗膜が得られる。
【新製品への応用と主な用途】