【開発経緯概略】
ケトン系樹脂は、カルボニル基とエーテル基が連結した芳香族系ポリマーである。ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)は、イギリスのICI社で1980年代に開発された。PEEKは、ジハロゲノベンゾフェノンとハイドロキノンとの重縮合系のポリマーである。
【性質、加工、その特徴】
① ガラス転移温度143℃、融点334℃の結晶性樹脂で、熱可塑性樹脂として極めて優れた耐熱性を有する。30%ガラス繊維強化品の荷重たわみ温度は315℃である。
② 極めて強靭なプラスチックで機械的強度が高く、耐疲労性、耐衝撃性、耐クリープ性に優れている。
③ UL温度指数は250℃で熱可塑性樹脂中最高クラスである。
④ 樹脂自体が難燃性で、UL94V-0である。また、燃焼時の発煙も極めて少ない。
⑤ 吸水性が少ない。
⑥ 耐熱水性に優れている。熱水中の連続使用可能温度は200℃で、290℃の加圧水中でも150時間経過後でも強度の低下がない。
⑦ 耐薬品性に優れる。結晶性樹脂のため幅広い無機・有機溶剤に対して極めて優れた耐性を示す。
⑧ 耐放射線性に優れ、ポリマー中もっとも良い。
⑨ 耐摩耗性、摺動特性に優れ、高温(250℃)、高加重下でも優れた特性を保持する。
⑩ 広い温度範囲、周波数に対して優れた電気特性を示す。したがって、電気絶縁材料として優れる。
⑪ フィルム、モノフィラメントに加工でき、粉末塗装も可能である。
⑫ 延伸や充填材により効果的に性能の強化ができる。
⑬ 通常の成形機で加工が可能である。
【新製品への応用と主な用途】