ランクセスは7月13日、ドイツ技術者協会(VDI)フォーラムで28日、29日に開催の自動車プラスチック部品展示会「プラスチックス・イン・オートモーティブ・エンジニアリング」(PIAE)に出展すると発表した。今回のフォーラムは、新型コロナウィルス感染拡大に伴い、バーチャルでの開催となる。
同社ハイパフォーマンスマテリアルズ(HPM)ビジネスユニットの「テペックス」自動車グループ事業開発マネジャーであるトマス・マレク氏は、「ランクセスは今回、ブレーキペダル、車体や高電圧バッテリー向けの構造部品などをはじめとした、連続繊維で強化された熱可塑性複合材『テペックス』ブランドをベースとする様々な軽量化ソリューションと、燃料タンクやターボエンジンのエアダクト用中空部品に適した、ブロー成形および射出成形が可能なポリアミド(PA)コンパウンド製品について紹介する予定だ」と述べている。
テペックスブランドの軽量化用途の一例として、バッテリー式電動スポーツカー向けに開発されたオール樹脂製のブレーキペダルがある。複合材で作られたこの部品は、スチール製の同等品と比べ約50%軽量で、かつ、全ての耐荷重要件に適合している。これは、テーラーメイドの繊維層構造を有するテペックスインサート、およびテープ材による局所補強によって実現した。
またテペックスは、電気自動車の高電圧バッテリー用の構造部品・筐体部品への応用にも大きな可能性を秘めている。これは、同複合材がもともと兼ね備えている非常に優れた難燃性能によるもの。この難燃性能は、難燃添加剤を加えることなく検査規格・基準に基づいた様々な試験において証明されている。ハイブリッド成形法によって機能組み込みのコスト削減が可能で、製造工程がシンプルで再二次加工が不要なため、これらの複合材料は、アルミニウムに代わる軽量代替品を提供するだけでなく、コスト効率の高い部品ソリューションを可能にする。
その他の出展内容としては、「デュレタンBC550Z 900116 DUSXBL」で製造されているBMWモトラッドのオンロード自動二輪車のタンクがある。補強材を用いず、耐衝撃性を有する改良型ポリアミド(PA)6から、まず射出成形で2つのハーフシェルが作られ、さらにこれらを熱板溶着することでタンクを製造する。この材料によって、複雑な形状のエンジン向けにもコスト効率良く大量生産することが可能となり、タンク層からの燃料揮散量は規制値を遥かに下回っている。
同社の高性能熱可塑性樹脂には、電気自動車のパワートレイン(駆動装置)分野だけでなく、電気モビリティ充電インフラ分野での大きな可能性が期待されている。