昭和電工は7月13日、6月に日本接着学会より「2020年度第42回日本接着学会技術賞」を受賞したと発表した。同社の「イソシアネートモノマーと粘接着・塗料分野の応用」が、粘接着剤・塗料業界における樹脂のデザイン・機能の向上を実現し、業界に貢献したことが評価された。
受賞対象である「カレンズ」イソシアネートモノマーは、各種の物質と容易に結合するイソシアネート基と、共重合や光・熱硬化が可能なアクリル基を同一分子内に有する同社独自の製品で、ポリマーに添加・反応させると短時間かつ効率よく光硬化性を付与できる機能と、アクリル共重合体のモノマーに用いると低温でイソシアネート硬化を可能にする機能を有している。
「カレンズ」は、粘接着用途では粘度上昇や副生物の生成なく簡便に合成でき、光硬化性も高いため、近年のUV―LED化に合致した製品開発が可能。また塗料分野では、簡便にイソシアネート基を樹脂構造中に挿入できるため、低温で硬化でき省エネルギー化に貢献できるほか、低温硬化型イソシアネートブロック体も合成できることから、塗料の水系化・高機能化のトレンドにも合致し、機能性高分子分野のキーマテリアルとして幅広く採用されている。
同社グループは、「個性派企業(収益性と安定性を高レベルで維持できる個性派事業の連合体)」を実現し、「世界トップレベルの機能性化学メーカー」となることを目標としている。今後も独特な化学構造・機能を持つ「カレンズ」シリーズの安定供給体制と顧客への提案力強化により、顧客の開発サポートを通じて事業を拡大し、個性派事業の確立を目指していくとしている。