三洋化成工業は7月20日、関係会社のAPBが、次世代型リチウムイオン電池「全樹脂電池」を、川崎重工の開発する自律型無人潜水機(Autonomous Underwater Vehicle「AUV」)に搭載し、本実証試験を開始したと発表した。
AUVは潜水船関連技術を応用し、海中設備の保守・点検を行うことを目的として製造されており、深海などの過酷な環境で長時間にわたり水中作業を行うことが必要となる。APBが開発・製造する全樹脂電池は、部品点数が少なくて済むバイポーラ積層型で、樹脂で構成されているためセルの大型化が可能であることから、積層化した際にエネルギー密度が高いという特徴を持つ。そのため、同電池をAUVに活用することで、機体中の限られた空間内に搭載可能な電池容量を拡大し、より長時間の走行が可能になる。また、AUVに用いる電池は海底での高い水圧環境に耐える必要があるが、すでに同電池が耐水圧性を有することを確認できており、この度、AUV実機へ搭載しての実証試験に移行した。
本実証試験ではまず、川崎重工の神戸工場内岸壁の試験エリア内で、AUVの出力試験を行い、その後も連続航続距離、充電特性や耐水圧性など、AUV実機を用いた試験を実施していく予定。
APBでは本実証実験を皮切りに、大型定置用蓄電池向けなど全樹脂電池の用途展開を促進させ、将来的には新しい社会インフラとなるよう挑戦を続けていくとしている。