【開発経緯概略】
PAとPPの組合せは、極性が大きく異なり、相溶性の欠如した代表的なポリマー系である。したがって、相溶化剤が重要な役割を果す。PAとPPのポリマーアロイの相溶化剤としては、一般に無水マレイン酸などで酸変性されたPPが用いられる。この系では、ポリアミドの末端基のアミノ基とPP中の酸が反応によりグラフト結合を形成し、相溶性を向上すると考える。相溶化剤で分散相の粒子径と分散性を制御されたこのアロイは高い衝撃強度を示す。
この材料は、PAの欠点である耐水性、吸水性が大幅に改良されること、また低比重であることなどから、自動車の軽量化に対応した材料として注目されている。
【性質、加工、その特徴】
① PAに比較して吸水率が大幅に低く、吸水による寸法変化、物性変化が少ない。
② PAに比較して比重が小さく、製品の軽量化が図れる。
③ PPに比較して強度などの機械的性質の向上が達成される。
④ 優れた耐薬品性を示す。
⑤ PAと比較して優れた成形性(射出成形、ブロー成形)を有する。
⑥ 超耐熱性グレードから超耐衝撃性グレードなど幅広いグレード設計が可能である。
【新製品への応用と主な用途】