ダイセルは8月3日、同社と三和商会が、ダイセルの生分解性バイオマスプラスチック「酢酸セルロース」をベースとした成型材料「NEQAS® OCEAN」を開発したと発表した。
同製品は従来の生分解性材料よりも優れた物性、成型性を有しており、食品容器および包装資材向けを中心に用途の開拓を進めていく。
「NEQAS® OCEAN」は、耐熱性、耐溶出性、耐臭性などの特性を有している。射出、押出、シートの各成型に対応できるよう開発を進めており、食品容器や成型材料への使用を目指している。同製品は同社の酢酸セルロースをベースに、三和商会のコンパウンド技術「SANTECH―BIO」を採用して加工している。
「SANTECH―BIO」は樹脂中に様々なバイオマス素材を均一に分散させる技術。この技術を利用することで、「NEQAS® OCEAN」は酢酸セルロース 100%のグレードのほか、酢酸セルロースにバイオマス由来の添加剤を組み合わせた複合材料の製造が可能となる。すでに販売を開始しているグレードに加え、今後は物性や成型性をさらに向上させ、「NEQAS® OCEAN」の製品ラインアップを充実させていく。
近年、世界的に環境配慮意識が高まり、脱プラスチックや食品容器の再利用などの傾向が強まっている。
しかし、2020年の新型コロナウイルス感染症(COVID―19)の流行を機に、衛生面に配慮し感染防止に努める等の理由から、使い捨て容器使用の見直しや、容器そのものへの衛生向上などが求められてきている。
環境対応型プラスチックの課題として、日本国外からの供給依存、材料物性や成型加工性の不足等があげられる。「NEQAS® OCEAN」は、酢酸セルロースのバイオ原料ならではの特性と生分解性を生かしながらこれらの課題を解決し、アフターコロナ・ウィズコロナの時代に対応する環境対応型材料として浸透することを目指す。今後、顧客の要望に応じて、物性や成型性の開発をさらに進めていくとしている。