デンカは8月11日、新型コロナウイルスの抗原迅速診断キットの国内製造販売承認を同日取得したと発表した。体外診断用医薬品「クイックナビ―COVID19Ag」として、同社五泉事業所(新潟県五泉市)で最大1日10万検査分の量産体制のもと、13日から順次医療機関へ販売する。また、販売提携先の大塚製薬は9月1日から販売する。
「クイックナビ―COVID19Ag」は特別な検査機器を必要とせず、鼻咽頭ぬぐい液中の新型コロナウイルス抗原の有無を約15分で診断、一般の医療機関でも迅速かつ簡便に検査が行うことができる。また、インフルエンザの流行に備え、一度の検体採取で新型コロナウイルスとインフルエンザのウイルス抗原を診断できるよう準備を進めている。判定時間のさらなる短縮や検体種の適用拡大などにも積極的に取り組んでいく。
同社はインフルエンザをはじめとする長年の感染症検査試薬の開発・製造で蓄積してきた技術とノウハウを生かし、新型コロナウイルス感染症の対策を社会的責務と捉え、今年2月に同製品の開発に着手した。同感染症が世界的に拡大し国内でも早急な検査体制の強化が求められる中、国立感染症研究所と同キットの開発に関する共同研究を進め、AMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)の研究班への参画を通じて国立感染症研究所より抗体と抗原の分与を受け、開発を加速させてきた。通常は開発から製造販売承認取得までに最短で1年半から2年を要するところ、関係官庁や公的機関、国内外の研究機関の協力と支援を仰ぎ、約半年で承認を得ることができた。
同社は、同製品が現在求められている新型コロナウイルスの検査体制のさらなる拡充に活用されることで、人々の「Quality of Life」の向上に貢献できるとしている。
なお同件による2021年3月期の同社連結業績への影響は精査中。今後大きな影響が見込まれる場合には、速やかに開示するとしている。