【開発経緯概略】
シリコーンゴムは(R2SiO)nを原料とした高重合度の直鎖状ジオルガノポリシロキサンの架橋体からなる弾性体である。
加硫温度の差でミラブル型(高温加硫型、HTV)と室温加硫型(RTV)に大別される。HTVは、まずオクタメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルトリシロキサンなどの環状シロキサンを水酸化カリウムやアンモニウムハイドロオキシドで開環重合させ、高分子量(10~100万)の生ゴムを得る。ついで、加硫剤(各種過酸化物)、充填材(シリカ、チタニア、酸化鉄など)および各種添加剤(耐熱性向上剤、内部離型剤、顔料など)を混合してゴムコンパウンドをつくり、100~150℃で加圧することにより加硫する。シリコーンゴムは、-80~250℃にわたり安定した弾性と優れた電気的性質をもち、撥水性、非粘着性であり、生理的には無毒である。
【性質、加工、その特徴】
ミラブル型の種類と特徴は以下の通りである。
① 一般成形用シリコーンゴム:もっとも標準的なゴムで、乾式シリカ系と湿式シリカ系に分類され、後者は低価格である。
② 高強度シリコーンゴム:生ゴム、充填材、架橋構造を改良したものである。引裂き強度は、2.9~4.9MPaである。
③ 超耐熱性シリコーンゴム:充填材、生ゴム、加硫剤や添加剤の組合せを改良したもので、250~300℃の使用に耐える。
④ 耐寒性シリコーンゴム:フェニルシロキサン単位を数モル%含む生ゴムを使用し、-90℃までの使用が可能である。
⑤ 難燃性シリコーンゴム:白金化合物の添加により、高温酸化による燃焼性低分子シロキサンの生成防止技術が開発され、有機ハロゲン化合物などの難燃剤を一切使用せずにUL94V-0を達成できる。
⑥ 耐油・耐溶剤性シリコーンゴム:FVMQ([CF3CH2CH2](CH3)SiO)[CH2=CH](CH3SiO))をベースとしている。
⑦ 導電性シリコーンゴム:カーボンブラック、グラファイトや炭素繊維を充填した物が多い。
⑧ スポンジ用シリコーンゴム:ニトロソ化合物やアゾ化合物などの有機発泡剤を加えることにより得られる。
⑨ 収縮性シリコーンゴム:ゴムコンパウンドに熱可塑性のシリコーンレジンや有機レジンなどを混練、成形加工後、混合ポリマーの融点以上に加熱、一定形状に延伸したまま冷却して得る。
【新製品への応用と主な用途】