ダウは8月21日、同社のVERSIFYプラストマーおよびエラストマーが、仮設装飾用バナーに使われる新しいポリオレフィン(PO)ベースの膜の材料として凸版印刷に採用されたと発表した。同素材は、プラスチック部分(膜、網、小穴、糸など)がすべてポリオレフィン製であり、フィラーとして無機素材が適切に分散されている。単一の種類のプラスチックで作られているため、特にバナーに一般的に使用される従来の防水シート(ターポリン)と比較して膜のリサイクル性が向上する。
同社は凸版印刷と協力し、イベントの成功に貢献する膜作りに取り組んでいる。イベントで使用したポリオレフィンベースで作られたサインやバナーなどを回収し、異なる製品にアップサイクルする。回収したサインやバナーを、再生樹脂としてリペレット化し、木材廃棄物に含まれる材料と混合することで、ベンチや床などに使われる木とプラスチックの複合材を生産する。
同社オリンピック&スポーツ・ソリューションズ事業部のグローバル・サステイナビリティ&テクノロジー担当ディレクターであるニコレッタ・ピッコルロヴァッツィ氏は、「この取り組みは、ダウの材料科学に関する知見とお客さまの市場に対する洞察力とが組み合わされ、環境に優しい製品が生み出される非常に良い例となる。両社が協力することで、オリンピックをより持続可能なものにすることができる。ダウは、使用後のプラスチックに第2の活躍の舞台を与えるというニーズの拡大に応え、特別に東京2020大会のため、凸版印刷と密接に協力して、このポリオレフィンベースの膜を開発した」と述べている。
凸版印刷による最終製品は、光学特性に優れた膜を使用することで、素晴らしい鮮明さと注目を集める「輝き」を提供するディスプレイ面を実現している。凸版印刷情報コミュニケーション事業本部技術戦略・開発部新商材開発技術チーム課長の古谷誠士氏は、「当社は、ダウとの共同プロジェクトにより、製品の従来の使用と寿命に関する限界を超えることができた。東京2020バナーのリサイクルは、当社がいかにして使い捨てプラスチックの使用を縮小し、焼却や埋め立てられることになる材料を減らし、全く新しいものを生み出すことができるかを証明するだろう」とコメントしている。