ピレリは8月19日、イタリア大衆車の象徴として知られるフィアット500向けに新しいタイヤを発表した。同タイヤは、ピレリ・コレッツィオーネファミリーの製品。ピレリ・コレッツィオーネは、1950年から1980年製造の車へ向けて開発されたタイヤファミリーで、車製造当時のオリジナリティーを維持したクラシックな外観と現代のテクノロジーを併せ持っている。
1957年から製造されたフィアット500全モデルへ向けて、同社は、1972年に発表されたチントゥラートCN54(サイズ・125R12)をリニューアルした。このラジアルタイヤは、トレッドパターンとサイドウォールこそオリジナルと同様の外観だが、現代のテクノロジーによって製造されている。最新のコンパウンドを使用した同タイヤは、グリップやウェット路面のロードホールディング性能を向上させ、外観をオリジナルに留めたままで信頼性と高水準の安全性を保証している。タイヤの研究開発工程を通して、同社のエンジニアは、車が製造された当時と同じパラメータを使用して、新品時のサスペンションやシャシーと完璧にフィットするタイヤを目指した。エンジニアたちは目標を達成すべく、ミラノのピレリ財団に保存されているオリジナルタイヤの素材やデザインを参考にした。
1957年に製造されたフィアット500は、全長2・95m、479cc、13馬力、最高速度85kmという仕様だった。タイヤサイズは12512。フィアット500はレンジを拡大させ、1960年には、オリジナルのNに続くDバージョンが発表された。Dバージョンは、ピレリセンピオーネシリーズの「セーフティーショルダー」を最初に採用した車。セーフティーショルダーは、コーナリング時のロードホールディングを向上させる丸みを帯びたサイドウォールを特徴としている。1965年にはフィアット500Fが、1968年には500Lが、ともに同社の12インチタイヤを装着して登場した。そして1972年にRバージョンが発表されたとき、ピレリ・チントゥラートタイヤレンジに属するラジアルのCN54(サイズ125R12)が装着された。このタイヤこそが、象徴的なイタリアのクラシックカー向けに同社がリニューアルしたもの。CA67トレッドパターンデザインを踏襲したCN54は、ラリーでの経験を受け継いだタイヤで、快適性とタイヤ寿命を向上させた新しいベルト構造によってチントゥラートの名前を世界中に浸透させた。