三菱ケミカルは8月26日、タキロンシーアイが同社の生分解性樹脂BioPBSを用いて開発したジッパーにおいて、ヨーロッパの生分解性製品の認証機関であるテュフオーストリア社の認証「OK Compost」を取得したと発表した。
タキロンシーアイが長年培ってきたジッパーの製造技術により、BioPBSを用いた生分解性ジッパーの開発に成功した。また、ジッパーのような厚みのある製品では取得が難しいとされている「OK Compost」の認証を取得した。
BioPBSは、同社が開発、基本特許を有し、同社とタイPTTグローバル・ケミカルが折半出資するPTT・MCC・バイオケムが製造する植物由来の生分解性樹脂で、自然界の微生物によって水と二酸化炭素に分解されるため、自然環境への負荷が少ない樹脂素材。また、他の生分解性樹脂に比べ、低温ヒートシール性・耐熱性・柔軟性などで優れた性能を有している。
プラスチックごみ問題への対策が求められていることを背景に、食品のパッケージ等に使用される包装材料は、従来の非生分解性の樹脂から生分解性のある素材への代替需要が高まっている。今回開発したジッパーは、BioPBSの柔軟性とタキロンシーアイの成型加工技術により、生分解性を有しながら多様な再開閉ニーズに応えることが可能。今後は菓子やコーヒー豆、ドライフルーツ等の食品用パッケージや衣料用パッケージ等、幅広い用途に展開していく。
同社は、三菱ケミカルホールディングスグループが掲げる「KAITEKI」の実現に向け、今後もBioPBSをはじめとする生分解性樹脂や植物由来樹脂の研究開発・用途展開を加速させ、サーキュラーエコノミー(循環型社会)の構築やSDGsの達成に貢献していくとしている。