ハイケムは8月19日、同社が事業戦略パートナーシップ契約を結ぶ中国の大手食品添加物メーカーの安徽豊原集団(以下「豊原集団」)の子会社である安徽豊原福泰来聚乳酸が、14日にポリ乳酸(以下PLA)の量産化に成功したと発表した。
これに伴い、同社は日本での生分解性材料の販売体制を整え、PLAの日本での販売を開始するとともに、PBAT(ポリブチレンアジペートテレフタレート)など他の生分解性材料についてもマーケティング活動を開始する。
今回稼働を開始した豊原集団のPLA製造工場の生産能力は5万t/年で、2021年には10万t/年に増強させ、今後5年以内に生産能力100万t/年に達する計画。2019年の世界におけるPLAマーケットは約20万tと推定されているが、欧州などで採用が加速しており、需要の伸びが供給力を上回っているのが現状。また、日本のマーケットも約5000tと推定されており、需給がひっ迫している。豊原集団が5万t/年のプラントを完成させることで、世界第3位の規模を有するPLA供給メーカーとなり、2022年に生産能力を急成長させることにより、世界最大のPLAサプライヤーとなる予定。
今回、同社が取り扱いを開始するのは、押出成形用途、射出成形用途、繊維・不織布用途の3種類。押出成形用途は、フィルムやシートに展開、射出成形用途はお弁当や野菜、果物などの食品包装容器や精密部品、コンパウンド原料などに展開する。また、繊維・不織布用途においては、アパレル製品、マスク、ティーバッグなどの不織布などに展開していく。繊維用途については、PLAの持つ抗菌性や弱酸性などの特徴にも注目し、ベビー服やインナーなどへも展開する。また、国内アパレルメーカーと協業することで、PLA混合繊維などへの拡販を図る。
同社は今後、日本市場において、2023年までに日本マーケットにおけるPLAの流通量を倍増させることに加え、汎用ポリエチレンに似た特性を有するPBATや、海洋環境下でも生分解性を有する素材など、幅広い生分解性材料の取り扱いも強化していくとしている。