産業廃棄物処分業許可を取得 昭和電工、KPRで

2020年09月03日

ゴムタイムス社

 昭和電工は8月31日、今年7月1日付で産業廃棄物処分業の許可を取得し、破砕成形された状態のプラスチック産業廃棄物の受け入れを開始したと発表した。

 同社川崎事業所(神奈川県川崎市)では、2003年から容器包装リサイクル法に基づく使用済プラスチック(以下、容リプラ)を化学原料にリサイクルする「プラスチックケミカルリサイクル事業」(同社では「川崎プラスチックリサイクル(KPR)」と呼称)を行っている。受け入れた容リプラは高温でガス化して分子レベルまで分解し、水素(以下、低炭素水素)と二酸化炭素へ転換、低炭素水素は主にアンモニアの原料に、二酸化炭素はドライアイスや炭酸飲料向けに使用している。

 同社は、ガス化によるケミカルリサイクルとしては世界で唯一、長期にわたる商業運転の実績を持っている。昨今の海洋プラスチック問題等、廃プラスチックの高度リサイクルに対する社会的ニーズが高まる中、今回の産業廃棄物処分業許可取得により安定的に廃プラスチックを確保することが可能となる。原料ソースが多様化され、同事業を安定継続する体制が整った。

 神奈川県川崎市は、経済産業省からエコタウンとして認定されており、2015年7月、同社と川崎市は低炭素水素社会の実現に向けた連携・協力に関する協定を締結し、使用済プラスチック由来の低炭素水素を活用した環境負荷の低い水素社会の実現を目指している。これまで、低炭素水素を川崎市内のホテルに設置した燃料電池や、燃料電池車用の水素ステーションに供給する実証実験を行っている。なお、同取り組みは、環境省の「使用済プラスチック由来低炭素水素を活用した地域循環型水素地産地消モデル実証事業」として受託・実施しているもの。

 日本で毎年排出される約900万tの廃プラスチックのうち、再利用されるものは750万t(このうちケミカルリサイクル39万t、マテリアルリサイクル208万t、サーマルリサイクル503万t)、未利用のまま焼却処分や埋め立て処分されるものが142万tある。ケミカルリサイクルは廃プラスチックを原料に戻して再利用できるため、資源循環型社会実現のための重要な技術の一つとして注目されている。

KPR外観

KPR外観

 

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