住友ゴム工業は9月4日、同社泉大津工場が泉大津市と災害発生に備えた臨時避難所協定を締結したことに伴い、大阪府主催の避難訓練の見学と併せ、臨時避難所協定締結に関する説明会を開催した。
今回の協定は、市内避難所で避難者が収容できない場合に、泉大津工場の体育館や駐車場などの施設を提供するもので、3密を回避する多様な避難所を確保する事が狙いとなる。
避難所施設を見学した吉村洋文大阪府知事は「コロナ禍における新しい避難の在り方を見ることができた。民間の住友ゴムと泉大津市が連携して、避難場所を確保した取り組みは画期的で大きな第一歩であると思う。住友ゴムの体育館にはシャワールームがあり、大浴場もあるので、安心してスペースを確保できるだけではなく、避難されてくる方に快適な場所を提供することができる。コロナ禍で避難場所をどのように確保していくかを考えた時、民間と市が協力することで災害に強い街づくりができる点に着眼した住友ゴム、泉大津市の発想はすごいと思う」と評価した。
泉大津工場は、道路を挟んで、工場エリアと本館エリアの二つに分かれており、今回の協定では本館エリアの一部を避難所として提供する。約1000平方メートルの体育館、1階ロビーと会議室の合計約130平米に加えて、車中泊避難が可能な駐車場約100台の提供も含めると、約500名の避難者を収容することが可能となる。
また、体育館には男女別のトイレ・洗面台・シャワー室が完備されているだけでなく、一度に大人が約14名が利用できる広さ約100平方メートルある大浴場も避難者に解放しており、新型コロナウイルス感染症の拡大により顕在化した課題を解決するマルチ型避難所となっている。
箱嶋英一泉大津工場長は、今回の協定について「今回のような大規模での避難所協定は、全国的にも珍しい事例だと思う。また、車中泊が増えていく中での駐車場100台の確保、大浴場の提供など施設の提供も充実している。コロナの状況に対応した避難所だと思う」と説明した。さらに、本館エリアを避難所として活用しても、工場エリアでの事業活動に影響がなく、動線も交わらないことも大きなポイントだという。
泉大津工場では、消毒液の提供を、近隣や泉大津市に5月から開始しており、既に3500リットルを提供している。同協定の調印式は6月30日に、南出賢一泉大津市市長と箱嶋英一泉大津工場長らが出席し、泉大津市役所で行われた。