信栄ゴム工業(岐阜県各務原市、小栗國男代表取締役)は9月8日、量産終了後の金型を預かり、注文に応じて補給部品を製造・供給する新たなサービス「補給品 BANK」の提供を開始すると発表した。
同社が新サービス開始に至った背景は、元請け業者、供給業者双方が量産が終了した後の補給部品調達に課題を抱えていたことがあった。
まず、元請け業者の課題は、海外に部品製造を委託している場合、物流寸断や経済活動停止に伴う補給部品調達リスクを抱える。国内下請け供給業者に製造委託している場合も下請け先の高齢化や業績悪化等による廃業や金型劣化による品質低下により安定した補給部品調達にリスクを抱えている。特に、新型コロナの影響で、これらのリスクは一層高まってきており、補給部品のサプライチェーンの再考も必要な事態となっている。
一方、供給業者が抱える主な課題は、金型の保管・維持管理、型落ち品等補給部品に対し、年に数回、小ロットで供給することへの負担が大きい。
また、金型保管についても「型管理適正化マニュアル」(経産省2020年発表)で国内製造業にガイドラインが示されているものの、金型保管業務は下請け製造業者にとって負担が重く、生産性向上を図る上で足かせとなっている。
同社では、創業70 年以上にわたるゴム製品の製造実績、自社保有の金型保管スペース、小型~大型(70~1000t)まで成形可能なゴム製品用プレス機を有効に活用し、製造業全体の課題解決につなげる。
なお、同社では、ゴム業界に限らず、金属加工や樹脂成型など他の業界を見渡しても、補給段階になった金型を預かって生産・供給までを行う業者は見当たらず、「国内初のサービスになる」としている。
補給品BANKサービスの概要は、①最終メーカー、あるいは1次、2次サプライヤーからの依頼で、金型を預かり、同社で保管・メンテナンスを行う(保管料は有償)。②補給部品供給の依頼に基づいて、同社で保管している金型を使用し、補給部品の製造・納品を行う。③同社から定期的に金型の保管状況を報告し、必要に応じて返却を行う、という流れとなっている。
なお、同社ではコロナ禍でサプライチェーンの見直しや国内事業者の廃業等が見込まれるなか、補給品BANKサービスの開始を機に、「補給品の供給担い手となることで、サプライチェーンの再構築、国内のモノづくり基盤の維持・強化に貢献していきたい」(同社)考えている。