【コラム連載シリーズ】世界のゴム事情53 コロナ禍による世界のゴム事情(後編) 加藤進一

2020年09月21日

ゴムタイムス社

 前回に引き続き、2020年5~8月にわたり、新型コロナウイルスの影響で世界のゴム産業がどのような状態になったかを解説いたします。

 インド、ブラジルのゴムやタイヤ生産がまだまだひどい状態が続いています。当社(加藤事務所)のインド合弁会社も、販売や生産量は前年比60%ぐらいの状態がまだ続いています。毎日多くの感染者が出ており、インドは3~7月まで全インドのロックダウンが続いていました。8月末でも、あるタイヤ工場では毎日従業員に感染者が出ていますが、生産はそのまま継続しています。

日本のタイヤ工場ゴム原料消費量

日本のタイヤ工場ゴム原料消費量

 新型コロナの影響はゴム原材料でも、需給バランス面で大きな影響が出ています。日本のゴムやタイヤ工場の稼働率は5月50%、6月60%、7月70%となり、8月80%はどうか?というレベルです。

 天然ゴムは2月に中国でタイヤ生産が止まり、需要が大幅に減りましたので、価格が下がりました。グレードRSS3の国内の期近販売価格で見ると、2月は¥195/kgであったものが4月には¥150/kg以下になり、その後7月までは価格がそのまま低迷しました。8月には世界のタイヤ生産の回復を受けて、¥180/kgまで上がりました。

 さらに9月に入ると、中国は前年超えるほどの生産が増大したほか、アジア地区では天候不順も重なり、さらにゴム農園のおいては、新型コロナウイルスの影響のため労働者不足による供給が不安になりました。その結果、価格が¥220/kgまで上昇しています。

 合成ゴムの価格は原油価格がベースにな

全文:約1227文字

関連キーワード: ·

技術セミナーのご案内

ゴムタイムス主催セミナー