BASFは9月29日、廃タイヤの熱分解を専門とするテクノロジー企業、Pyrum Innovations AG社(以下「Pyrum」)に1600万ユーロを投資すると発表した。この投資により、Pyrumがディリンゲンに持つ熱分解工場の拡張およびその技術のさらなる発展を支援する。
Pyrumは現在、廃タイヤの熱分解工場を稼働させており、年間1万tのタイヤの処理能力を有している。2022年末までに、2つの生産ラインが既存の工場に加わる予定となっている。同社は、「ChemCycling」プロジェクトの一環として、その熱分解油の大半を入手し、マスバランス方式を用いて新しい化学品の製造に使用する。再生原料由来で、高品質かつ機能性の高いプラスチックを求めるプラスチック業界の顧客が主な対象となる。
Pyrumは、パートナーとともに、タイヤの熱分解工場のさらなる建設を予定しており、協力体制の構築により、Pyrumが持つ優れた技術の活用に拍車がかかることになる。また、今後、この技術に投資する投資家たちにとっては、生産された熱分解油が高性能化学品の生産に向けて同社に採用されるということが明確になる。こうした協業は、プラスチック廃棄物の循環に貢献する。廃タイヤは、ドイツ、欧州及び国際標準化機構の規格であるDIN EN ISO 14021:2016―07が定義する、使用済みプラスチック廃棄物に該当する。
両社は廃タイヤ由来の熱分解油の生産能力を、今後数年以内に、年間最大10万tに増強できると見込んでいる。
同社はChemCyclingプロジェクトにおいて、長期的には混合プラスチック廃棄物由来の油に注力しているが、それに次ぐ原料として、廃タイヤ由来の熱分解油を使用していくとしている。