三井化学は9月16日、岩国大竹工場で保有しているポリエチレン製造装置が国立科学博物館により未来技術遺産に登録され、9月15日に登録証の授与を受けたと発表した。
同装置の登録番号は00286号で、名称は「世界最初期の工業規模低圧法高密度ポリエチレン製造装置」(「低圧法高密度ポリエチレン重合器」 「エチレンプラントの原料フィードポンプ」「エチレンプラント2号機のコンプレッサー用パワーピストン」)。日本最初の石油化学コンビナート発祥当時の低圧法ポリエチレンの製造装置となっている。
1955年にドイツの化学者チーグラーが発明したチーグラー法による低圧法高密度ポリエチレン製造法は、工業規模の製造装置としては世界でも最初期のものとなっている。石油化学工業は米国の石油精製技術とドイツの石炭化学を中心とした有機・無機薬品や合成ゴムなどの高分子合成、人造石油の大規模合成技術をもとに発達したもので、日本での本格化は中東産原油から供給されるナフサを原料として誕生し、欧米諸国と時期を同じに発展してきた。
同装置は日本最初の石油コンビナートで、世界で最初期にチーグラー法による低圧法高密度ポリエチレン製造を企業化した装置であり、技術の歩みを示すものとして重要な装置となっている。
同社の未来技術遺産への登録は、2012年「クロード法によるアンモニア国産化史料(登録00095号、所在地・下関三井化学)」、2016年「日本初の合成インジゴ関連資料(登録00216号、所在地・茂原分工場)」に続き、3件目となる。
未来技術遺産とは正式名称を「重要科学技術史資料」といい、2008年より開始された国立科学博物館産業技術史資料情報センターが行う登録制度で、我が国において「科学技術の発達史上重要な成果を示し、次世代に継承していく上で重要な意義を持つ科学技術史資料」及び「国民生活、経済、社会、文化の在り方に顕著な影響を与えた科学技術史資料」の保存と活用を図ることを目的としている。